記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/7
記事監修医師
前田 裕斗 先生
40代後半くらいの更年期に差し掛かってから、妊娠することはあるのでしょうか?今回の記事では、閉経が始まってから妊娠する可能性を中心にお伝えしていきます。
更年期になると女性ホルモンの一種「エストロゲン」の分泌量が減少し、排卵もなくなるため、妊娠に適した環境がつくれなくなってきます。このため、非常に妊娠しにくい状態になることは間違いありませんが、ごくまれに妊娠に適したホルモン状態を保たれることもあり、更年期でも妊娠の可能性はゼロとは言い切れません。
実際に、更年期障害と思って婦人科に来院した患者が実は妊娠していた、というケースも報告されています。45歳くらいまでは、わずかながら妊娠する可能性があると理解しておきましょう。
ただし、閉経・閉経に伴う更年期症状と妊娠による初期症状は、どちらもホルモンバランスの変化によるものであるため、素人が自分でどちらかを判断するのはかなり難しいです。閉経・更年期か妊娠かわからないような症状が出て、自分に何が起きているのかよくわからないときは、病院を受診して検査を受けるようにしてください。
更年期を迎えるころには、ほとんどの女性が閉経も経験することになります。
一般的に、排卵されるべき卵子が卵巣内になくなり、生理が止まることを「閉経」、さらに閉経の状態が1年以上続くと「完全閉経」と判断されます。完全閉経すると「受精・妊娠に不可欠な卵子が存在しない」という状態になるので、完全に閉経すると自然妊娠は不可能ということになります。
一般的に、閉経が近づき更年期の症状が出始める40代後半になると、生理周期が乱れやすくなり、生理が数か月おきに1回しか来なくなることも珍しくありません。しかし逆に言えば、生理周期が数か月に1回などと乱れていたので「閉経した」と思い込んでいたら、実は妊娠していたということもあり得るのです。
生理の有無などの自覚症状だけで「完全閉経」を判断するのは、とても難しいです。自分が完全閉経しているのか、卵巣や子宮が妊娠可能な状態かを正確に確認するには、病院で血液検査を受けてホルモンの状態を調べる必要があります。
更年期にあたる女性は40代後半~50代であることが多く、この時点での妊娠は超高齢妊娠となります。妊娠適齢期とされる20代~30代前半までとはホルモン状態がかなり違うため、妊娠が成立しても子宮外妊娠や胞状奇胎妊娠など、異常妊娠を起こすことも少なくありません。
更年期に入ってからの妊娠は、30代までの妊娠と比べると母体・胎児の両方にとってリスクが高いという事実は、きちんと理解しておくべきでしょう。
更年期のホルモン状態では、妊娠の可能性がかなり低いのは事実です。しかし先に述べたように、完全閉経していない限りは、たとえ更年期でもセックスをすれば妊娠の可能性はゼロではありません。
また、たとえ妊娠しなくても、セックスによって性感染症にかかるリスクはあります。思いがけない妊娠と、HIVなどの性感染症への感染を防ぐためにも、閉経後でもコンドームやなどを使ってきちんと避妊するよう徹底してくださいね。
更年期になるとホルモンバランスの変化により、心身にさまざまな症状が出ます。特徴的な症状に生理が止まる「閉経」がありますが、完全に閉経して排卵と生理が止まるまでは、ごくまれに妊娠することもあります。閉経または更年期なのか、妊娠しているかを自覚症状だけで判断することは難しいです。生理が数か月止まっていて、閉経か妊娠のどちらなのかを知りたい場合は、病院で血液検査を受けて確認してくださいね。