記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/27 記事改定日: 2019/3/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
慢性的な耳鳴りにお悩みの方は少なくありません。しかし、「耳鳴りは治らない」という話も聞きます。果たしてそれは本当なのでしょうか?
今回の記事では、耳鳴りの治療の注意点について説明していきます。
「キーン」「ザー」といった耳鳴りに悩まされている人は国内におよそ1000万人存在し、特に中高年に多い傾向にあります。
詳しい原因はわかっていませんが、実際には音がしていないのに聴覚神経が過度に興奮して、脳に誤った電気信号を伝えるために耳鳴りが起こると考えられています。
慢性化した耳鳴りではこの信号の回路が固定化してしまっているため、完全に治すのは難しいのが現状です。
以前までは血液循環を改善する薬やビタミン剤、抗不安薬や睡眠導入剤の処方が一般的でしたが、近年では日常生活に支障が出ないレベルまで耳鳴りを軽減する形で治療を進めるのが主流になりつつあります。
耳鳴りの現在の治療法としては、以下のものが一般的です。
現在主流になりつつあるのが、ステロイド剤を中耳腔に注射する治療法で、半数以上の患者に効果が見込めるとされています。ビタミン剤や血流改善薬といった薬で治らない、重度の耳鳴りの患者のみ適用される治療法で、めまいなどの副作用もあるので入院が必要になります。
近年の研究によって、耳鳴りの発生には、脳内の苦痛やストレスを感知する部分が関係していることがわかってきています。
ここで有効とされているのが、自己暗示をかけて心身の不安を解消するリラクゼーション法と、サウンドジェネレーター機能付きの耳鳴り用補聴器などを組み合わせたハイブリッド治療です。
この治療をすることで「耳鳴りはしているけれどほとんど気にならない」状態に近づける場合があり、これを1年ほど維持すれば耳鳴りを忘れ、治ったといっても良い状態になることがあるといわれています。
耳鳴りの原因は多岐に渡り、原因がはっきりしないことも少なくありません。原因がはっきりしない耳鳴りは治療が難しいことも多く、症状の改善が望めないこともあります。
耳鳴りはストレスや寝不足など不規則な生活習慣が原因で生じることもあるため、病院での治療と同時に生活習慣を整えることも大切です。
しかし、「耳鳴り改善方法」と謳われるようなセルフケアには信ぴょう性が低いものも多く、耳鳴りの種類によっては症状を悪化させることもあります。セルフケアはあくまで参考にするに止め、必ず一度は病院を受診して適切な検査・治療を受けるようにしましょう。
耳鳴りを完全に治す方法は確立されていないのが現状ですが、日常生活に支障がない程度に耳鳴りを軽減させる方法は見つかりつつあります。キーンという耳鳴りに長くお悩みなら、ご紹介したセルフケアを試しつつ、専門外来を受診することをお勧めします。