不妊の人が養子縁組をするときに知っておくべきこととは!?

2017/3/23 記事改定日: 2018/7/26
記事改定回数:1回

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

不妊治療がうまくいかなかったり、何らかの事情で不妊治療を受けることができなかったとき、選択肢として考えられるのが養子縁組です。
ここでは、養子縁組で子供を迎えるときに必要な知識や心構えを紹介していきます。

不妊でも子供をあきらめなくてもいい?養子を迎える条件とは!?

治療を続けても妊娠できなかったり、治療自体を行わない場合には、実の子でなくても、養育を必要とする子の里親となって「親」となることが可能です。

日本で行われている里親制度にはいくつかの制度はありますが、その中でも特別養子縁組制度は子が実親との法的な関係を解消して里親となる夫婦と養子縁組をするため、法律上は「親子」として扱われます。
その他にも普通養子縁組という制度もあり、実親と戸籍上の関係は維持しながら、里親とも親子関係を認め、親権などは里親が担うという制度です。つまり、特別養子縁組は子にとって法律上の親は里親だけになりますが、普通養子縁組では実親と里親両方が法律上の親ということになるのです。
特別養子縁組が行われるのは原則として6歳未満の小児に限られますが、普通養子縁組は里親よりも若年であれば年齢制限はありません。

里親になる条件は、夫婦が心身ともに健全であること、経済的に困窮していないこと、養育に関する知識を持つこと、虐待などを行うような問題点がないこと、などが挙げられます。
里親を希望する場合には、まずお住い地域の児童相談所での研修を受ける必要があります。研修は多岐に渡り、養護施設などでの実習も含まれています。これらの研修を全て終了した後に、児童相談所の職員が家庭訪問や聴取などを行って里親になる適正があるかを判断します。
その後さらに児童福祉審議会での認定を受けて初めて里親として登録することが可能になります。これらの手順の進め方は自治体によって異なりますが、平均的には登録までに半年かかるとされています。

また、実際に特別養子縁組を行うには、まずは養育里親となって子を半年以上養育し、その養育状況を家庭裁判所が判断し、養子縁組の可否が判定されます。特別養子縁組を行うにはこのような家庭裁判所の許可と実親の許可も必要ですので、希望される場合には事前に児童相談所に申し出るようにしましょう。

養子縁組をして子供を受け入れるための準備

養子縁組で子供を受け入れることを選ぶ理由は、不妊だけではありません。独身でも子供のいる家庭を築きたい、同性婚をしている、子供の兄弟姉妹として養子を受け入れたい、などさまざまなものがあります。
養子を迎えることに対して後ろめたい気持ちを抱える必要はありません。ただ、養子を迎える前にもう一度以下のことを考えてみましょう。

現状を受け入れる

不妊をきっかけに養子縁組を考えたとき、まずやらなければいけないことは「自分たちに子供ができなかった」という現実を受け入れることです。

実の子供も養子も尊い命であることには変わりませんが、気持ちの整理ができていないうちに養子を迎えてしまうと、迎えた養子に対して素直な気持ちで接することができなくなったり、心の奥で悩みを抱えてしまい、うつなどの心の病気になってしまう可能性があります。

子供を受け入れるための心と体の準備

養子縁組で子供を受け入れる準備としては以下のものがあります。

  • 養子縁組の問題や課題について十分に調べ、実際に養子縁組をした人に話を聞く
  • 地域で開かれている養子縁組の情報交換会に参加する
  • パートナーや親友、家族に、養子を迎えることを相談し、パートナー同士で気持ちを共有する

自身の健康

養子縁組を希望すると、里親に身体あるいは精神的な健康状態に問題がないかのチェックが行われます。これは子供が大人になるまで、健康で愛情で満ちた家庭を築いていけるかを判断するために行われます。
無理に平静を取り繕ったり、健康に見せるために極端にストイックな生活を送る必要はありませんが、自身のためにも普段の生活習慣を健康状態を見直しましょう。

不妊が原因の養子縁組 ― 養子に対してできること

不妊で悩む人が養子を迎えることにはたくさんのメリットがある一方で、迎えた養子が複雑な状況をかかえた子供であった場合、里親に大きな負担になってしまう場合があります。

養子で迎えた子供が育った環境によって対処法は違ってきますが、最低限以下のことについては心がけるようにしましょう。

期待を押し付けない

子供に対する期待が強すぎると、過剰にやさしくしてしまったり、反対に厳しくしてしまったりしてしまうことがあるかもしれません。自分と養子で迎えた子供の関係性をよりよいものにするためには、自身が持つ子供への期待を少し抑えなければいけない場面もあるでしょう。

また、養子に来た子供は慣れない環境に戸惑っている可能性もありますし、養子になったという事実を素直に受け入れることができていないかもしれません。また、期待が大きすぎると、子供にとってもプレッシャーになってしまいます。
人間として家族として普通に接することはもちろんですが、「ゆっくりと本当の家族になっていければ」という気持ちを持つことも必要になるかもしれません。

カウンセラーや支援機関の力も借りよう

自分の気持ちを、家族や、親友や、実際に養子をもつ人などと共有することが役立つことも多いです。また、子供から一時的に離れる時間をとることで見えてくることもあるでしょう。
養子を迎えた人の相互サポートを行っている機関を利用したり、カウンセラーに悩みを打ち明け、課題をひとつずつ解決していくことが大切です。

おわりに:親として養子縁組の課題・問題に向き合い、本当の家族になっていこう

子供を待ち望んでいた人にとっては、養子を迎えることは「大きな救い」になるでしょう。その一方で、養子縁組には、さまざまな条件や問題・課題があります。
支援機関やカウンセラー、養子を迎えた経験がある人などに力を貸してもらい、ひとつずつ困難を乗り越えていきましょう。

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