線維筋痛症の症状は痛み以外にもあるの?治療の目的は?

2018/5/11 記事改定日: 2020/8/17
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

特に中年以降の女性で発症率の高い病気に「線維筋痛症」があります。線維筋痛症を発症すると日常生活にも大きな支障が出ることがありますが、具体的にどのような症状が出るのでしょうか。この記事では、線維筋痛症の症状の特徴と治療の目的について解説していきます。

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線維筋痛症とは?

線維筋痛症は、検査でとくに異常がないにもかかわらず、体に強い痛みを感じたり、こわばりが出たりして、QOL(生活の質)が著しく低下する病気です。

線維筋痛症の患者は国内に約200万人いると推定されますが、原因がよくわかっておらず、治療法も確立されていない病気です。
しかし患者数の多さなどを理由に、国の指定難病の対象外となってしまっています(難病法では、「患者数が約12万人未満であること」を指定難病の要件としています)。

診断基準
  • 広範囲の痛みが3か月以上続いていること
  • 18か所の「圧痛点」のうち11か所以上で圧痛を認めること

線維筋痛症の圧痛点

線維筋痛症の圧痛点

線維筋痛症は通常の血液検査や画像検査などでは異常が見られないため、患者が感じる症状を客観的に診て診断が下されます

線維筋痛症の特徴的な症状
  • 身体の広い範囲に痛みが生じるものの、特に痛みが強いポイントがある
  • 痛みがあるところを押して刺激すると、非常に強い痛みが走ること

上記のようなポイントのことを「圧痛点」と呼び、首の付け根・前胸部・肘・腰・膝など18か所に及ぶことが分かっています。線維筋痛症では、この18か所の圧痛点を刺激した際、11か所以上で強い痛みが生じることが診断基準とされています。

線維筋痛症の症状の特徴は?

線維筋痛症の主な症状は、全身や体の一部の強い痛みです。痛む部分はそのときによって変化し、天候によって左右されることもあります。
重症化するとちょっとした刺激(髪や爪への刺激など)でも激痛を感じ、日常生活が困難になることも少なくありません。

また、痛み以外では、こわばり感、疲労感や倦怠感、抑うつ症状、睡眠障害、過敏性腸炎、頭痛、微熱をはじめとしたさまざまな症状が現れます。痛みによる不眠は大きなストレスとなることが多く、痛みをさらに悪化させる悪循環を招くことがあります。

線維筋痛症は治療できるの?

先述の通り、線維筋痛症の治療法は確立されていませんが、以下の方法で痛みなどの症状を軽減する治療が行われています。

薬物療法

リリカ®(プレガバリン)などの神経障害性疼痛治療薬や、抗うつ薬で痛みをコントロールします。睡眠障害を併発している場合は睡眠導入剤が処方されることもあります

運動療法

ストレッチなどの軽度の運動で血行を促進し、痛みに対抗する物質を増やすことで、症状を軽減します

認知行動療法

線維筋痛症によって情緒障害が起こることがあるので、それを改善します

心理療法

線維筋痛症の発症・悪化の一要因はストレスと考えられているため、カウンセリングなどの心理療法で対処します

おわりに:線維筋痛症の治療の目的は症状の軽減と悪化抑制。継続的な治療が必要

線維筋痛症国の指定難病には該当しませんが、治療法が確立されていない病気です。治療はあくまで、悪化防止と症状軽減が目的となります。継続的な治療が必要ではありますが、今後の医学の発展に期待しつつ、専門外来で根気よく治療を続けていきましょう。

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