便秘の種類と種類別の対処法とは!?見分け方はあるの?

2018/5/8 記事改定日: 2018/10/16
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

一言で便秘と言っても、便秘にはさまざまな種類があります。今回の記事では、便秘の種類や見分け方、対処法の違いについて解説しています。
お通じの悩みがある人は参考にしてください。

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便秘の種類には、どんなものがあるの?

便秘は、発症原因や症状などによって、機能性便秘・器質性便秘と大きく2つに分類されます。それぞれの特徴は以下の通りです。

機能性便秘

胃や腸の機能が低下することによって生じる便秘です。
原因は、食物繊維や水分摂取量の減少によって便が硬くなることや、ストレス、食事量の減少など様々なものが挙げられます。

機能性便秘はさらに、弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸便秘の3つに分けられることがあります。
弛緩性便秘とは、大腸の運動や腹筋力が低下することで便を排出する力がなくなることが原因で引き起こされる便秘です。寝たきりの高齢者や手術後の人に多く見られます。
一方、痙攣性便秘はストレスなどによる自律神経の乱れによって腸が痙攣様の動きを引き起こし、正常な蠕動運動が行われなくなることが原因の便秘です。
直腸性便秘とは、便が直腸まで達しているものの排便反射が生じないタイプの便秘です。浣腸や下剤の乱用、度重なる便意の我慢、神経疾患など様々な原因が考えられています。

器質性便秘

大腸がんや大腸ポリープ、大腸炎などの病気が原因で大腸が狭窄したり、過長化することによって引き起こされる便秘です。
器質性便秘によって大腸がんなどの病気が発見されることも多く、血便や貧血、腹痛などの症状を伴うことがあります。

便秘の種類見分け方 ― コロコロした便が出るのは?

コロコロした便が出て、その後下痢が起こるタイプの便秘は「痙攣性便秘」の可能性があります。
痙攣性便秘は、ストレスによる副交感神経の過緊張によって、腸の蠕動運動が活発化し過ぎたことが主な原因です。

高齢者に多いのは、どの種類の便秘?

高齢者に多いタイプの便秘としてまず挙げられるのが、「弛緩性便秘」です。加齢による筋力の低下が原因で腸の蠕動運動が弱くなり、大腸内で便が長く留まることで硬い便になります。お腹の張りや残便感、食欲不振、肌荒れなどの症状も現れることがあります。
なお、高齢者だけでなく女性の発症率も高いタイプの便秘で、食物繊維不足や過度なダイエット、運動不足が原因で起こるともいわれています。

また、「直腸性便秘」も高齢者に多いタイプの便秘です。加齢に伴い便意に鈍くなることで、実際には便が直腸まで届いていることに気づかず、知らないうちに排便を我慢しているうちに、排便反射が起こらず直腸に便が溜まってしまうタイプの便秘です。寝たきりの人や日頃から排便を我慢しがちな人、痔持ちの人は発症率が高い傾向にあります。

便秘の種類ごとで対処法は違うの?

機能性便秘は適切な対処を行うことで解消・予防することが可能です。便秘の解消・予防法は種類によって異なり、それぞれの以下のような対処法がすすめられています。

弛緩性便秘

最も有効な対処法は腹筋を鍛え、腹部や腰回りを動かすことによって腸の動きを刺激する運動を行うことです。
運動が難しい場合には、座ったまま腰を回す動作を繰り返すだけでも効果がありますので試してみましょう。

痙攣性便秘

ストレスが主な原因ですので、休息を取る・睡眠時間を確保する・気分転換の習慣を身につけるなど適度にストレスを解消にて、ストレスをためない生活を心がけるようにしましょう。
また、腸内環境が悪化すると便秘も悪化しやすいため、ヨーグルトやぬか漬けなどの発酵食品を多く取り入れるのもおすすめです。

直腸性便秘

便意を我慢せず、便意がない場合でも毎日同じ時間帯にトイレに行くようにしましょう。排便にいたらなくても、便座にゆっくり座る時間を作ることで、自然と排便習慣が出来上がることも多々あります。

病気が原因の便秘の特徴は?

大腸がんや腸閉塞、腹膜炎など腸の通りが悪くなる病気や、腸の長さなどの異常が原因で起こる「器質性便秘」という種類もあります。激しい腹痛や血便、嘔吐などを伴うことがあったら、すぐに病院を受診しましょう。腸管穿孔を起こす恐れもあります。

おわりに:便の形状や症状によって、可能性の高い便秘の種類は異なる

便の形状や年齢などによって、考えられる便秘の種類は異なります。それぞれの便秘の種類によって効果的な治療法は少しずつ異なるので、病院を受診した際は自身の症状をしっかり伝え、適切なケアを受けられるようにすることが大切です。

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