記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「ぎっくり腰とヘルニアの違いがよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。どちらも腰の痛みがあるので混同しがちですが、この2つは性質が異なるため違いを把握しておく必要があります。以降では、ヘルニアとぎっくり腰の原因や痛み方の違い、またぎっくり腰の予防法などについて解説します。
ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」です。重度になるとその場で立てなくなったり、寝返りができなくなったりするほどの痛みが伴います。
その原因は、骨のゆがみ・腰の筋肉のぜい弱化・過度なスポーツによる筋肉負荷などさまざまですが、どの場合にも腰に重度の負荷がかかっているときに発症します。そのため、運動を十分にしている人でも、腰に負担が蓄積されるとぎっくり腰になる可能性があります。
腰椎椎間板ヘルニアとぎっくり腰の原因や痛み方、痛みの期間には以下のような違いがあります。
ぎっくり腰は重いものを持ち上げたときや、急な動作、無理な動きをしたときなどに生じる突発的な腰痛のことです。ぎっくり腰の原因の多くは筋肉の肉離れで、靭帯や筋肉の損傷により痛みを生じさせます。それにより激痛を伴い、場合によっては立てない、動けない状態になります。
椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板というクッション代わりの軟骨内の髄核が飛び出すことで起こります。飛び出た髄核が背骨にある神経を圧迫することで、痛みを感じるようになるのです。椎間板は年齢とともにすり減っていくものですが、特に重いものを持つ仕事をしている人、普段から姿勢が悪い人などがなりやすいと言われます。
また、ぎっくり腰から椎間板ヘルニアになってしまうケースもあり、例えば重いものを持ち上げたときにぎっくり腰になってしまい、そのときの衝撃により椎間板が飛び出しヘルニアを発症してしまう可能性があります。
ぎっくり腰の場合は肉離れのような痛みがあり、ひどい場合は全く動けなくなります。また、急に動けなくなるケースだけではなく、そのときは特に痛みを感じないのに時間が経つにつれ徐々に痛みがひどくなるという場合もあります。
ヘルニアは神経による痛みが中心で、ズキズキという鈍い痛みやナイフで刺されるような痛みが特徴です。しかし、ぎっくり腰のように急に激痛を伴う場合や、少しずつ時間をかけて痛みが悪化していく場合もあるので、どちらの症状なのか判断が難しいケースもあります。
また、腰から足先にかけてしびれを伴ったり、酷いときには感覚が麻痺する場合もあり、その状態で車を運転したりするととても危険になります。
ぎっくり腰は発症後3日〜1週間程度で治るとされているため、安静にしていれば放っておいても問題がない場合が多いです。
ヘルニアは、症状が軽い場合は自然に消滅しますが、重症の場合は1~3年、症状によっては数年以上痛みが続くこともあります。その場合、継続的な治療が必要となり完治には時間がかかります。また、ぎっくり腰からヘルニアになってしまうケースもあるので、ぎっくり腰になってからなかなか痛みが治まらないという場合は、必ず専門医の診断を受けに行きましょう。
よく「ぎっくり腰の原因は運動不足」と言われますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。ぎっくり腰を招く主な原因をご紹介します。
重いものを持ち上げるときは、腰に大きな負担が掛かります。また、持ち上げる動作をするときは、手を介して物体の重量と足を介しての立ち上がる力が腰で交差する際に発生し(この力を「トルク」と呼ぶ)、ぎっくり腰が起こる原因となります。
重い物だけではなく、リモコンの様な軽い物を取るときにもぎっくり腰を起こす可能性があります。
その理由は、リモコンのような軽い物でも、手を伸ばして取るときは自分の体を支えないといけないからです。自分の体重を支えるのには、実はかなりの負担がかかっているため、ぎっくり腰を起こす原因となりえます。
意外と多いのがクシャミでぎっくり腰になるケースです。これは、上半身と下半身の急激な動きが関節に瞬間的な回転力を生み、関節や筋肉を痛めてしまうことによりぎっくり腰が起こります。
この2つは長時間同じ姿勢でいた後、動き始めるときにぎっくり腰になるケースです。
同じ姿勢を取り続けていることで体が固まり、関節のスムーズな動きを妨げてしまいます。このとき、不意に急な動きをするとぎっくり腰になってしまう場合があるのです。
転ぶと、急激な力が腰に掛かるので、筋肉や関節、骨などを痛めてしまうことになります。
ぎっくり腰を予防するために、起床時や立ち上がるときは以下のことに気をつけましょう。
膝を曲げながら、からだ全体をやや前に丸めて寝返りをしましょう。
いったん横向きになってから、腕の力を使い身体を起こしましょう。また、焦らずゆっくりと行うようにしてください。
両足を肩幅までしっかり開き、両膝もしくは何かにつかまったり手をついたりして、からだを起こします。着席時も同様にしましょう。
ヘルニアとぎっくり腰は原因や痛み方に大きな違いがあるので、腰の痛みがある人はまず、自分がどちらにに該当しているか診断してもらいましょう。また、ぎっくり腰は命に関わる病気ではありませんが、一度なるとしばらく激痛と付き合うことになるので、毎日の予防やケアが必要です。
なお、痛みが少し良くなったからといって放置していると、再発する恐れがあるので、早めに医師に診てもらうようにしましょう。