記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2017/3/22 記事改定日: 2019/8/9
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期には様々な症状があらわれますが、中でも多いのが「だるさ」です。
では、妊娠初期に「だるさ」があらわれる妊婦さんが多いのは何故でしょうか?
この記事では、妊娠初期のだるさがいつまで続くか、どうやって対処していくかについて解説していきます。
妊娠すると、「妊娠した」とはっきりとはわからなくても、なんとなく体の調子がいつもと違うと感じる妊婦さんが多いようです。
いつもより少しだるいという場合から日常生活に支障が出るほどの眠気や無気力感を感じる妊婦さんまで、だるさのあらわれかたには個人差がありますが、原因は妊娠によるホルモンバランスの変化だと考えられます。
妊娠初期の眠気は「プロゲステロン」という黄体ホルモンの分泌量が増えることが原因だと言われています。
これはプロゲステロンに睡眠を促す作用があるので、妊娠初期はだるさや眠気が続くことがあるのです。
妊娠初期の見られるだるさや眠気は、上で述べたように女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌量が増加することによって引き起こされます。
プロゲステロンの分泌は出産を迎えるまで続きますが、妊娠初期のころはその状態になれないためだるさや眠気を特に感じやすいと考えられています。
安定期に入るころにはホルモンバランスの状態に体が慣れるのでだるさや眠気が徐々に改善していく人が多いですが、その感じ方は人によって異なり出産するまで続くと言う人もいます。
だるさや眠気が続いている時は無理をせずにゆっくり休むことを心がけましょう。
妊娠中のだるさは生理現象なので完全に無くすることは難しいですが、症状を改善させるためにできることはあります。
妊娠初期には「つわり」があるため、バランスのとれた食事をとることは難しいかもしれませんが、できるだけバランスのとれた食事を食べるようにしましょう。
また、妊娠中は貧血になりやすいため、鉄分を補うよう心がけることも大切です。
便秘の解消、手足のむくみの改善、出産や産後に向けての体力作り、妊婦糖尿病や高血圧症への対策など・・・妊娠初期の運動にはさまざまな効果が期待されています。
ウォーキング、マタニティヨガやピラティス、水泳など、自分が無理なくできる運動を試してみましょう。
ただし、運動中に会話ができなくなるほどの激しい運動や相手との接触などの危険性がある運動は避けるようにしてください。
「だるさ」の他にも、妊娠初期には以下のような代表的な症状があらわれます。
妊娠すると、疲れや無気力感を感じやすくなります。
この症状は、比較的軽い疲れから、ずっと車を運転しているかのような緊張感まで、その程度はさまざまです。この時点ですでに、お腹の中の小さな子どもが母親の体力を使い始めており、母親の体はフルスピードで活動し続けている状態にあります。
したがって、妊娠初期はできるだけ安静に、リラックスして過ごす時間を多くする必要があります。いちばんのお勧めは、お腹の子どもが発する音に耳を傾けること、そして子供のために休息時間をしっかりとってあげることです。
妊娠中は朝方だけでなく、日中や夜間も気分が悪くなることがあり、たびたび吐いてしまうこともあります。この時期は妊娠初期に現れることが多いですが、それ以降も現れることがあります。
つわりの症状が出てきたときは、軽い食事を1日5回から6回摂るようにしましょう。また、レモンバームが入ったハーブティーやカモミールティーを飲むのもお勧めです。
妊娠初期では、お腹が痛くなるほどの張りをたびたび感じるようになります(場合によっては背中の痛みを伴うこともあります)。これは、赤ちゃんが育つにつれてお腹の中で大きくなり、それに伴って子宮も大きくなることと関係しています。
もし不安な場合は、かかりつけの産婦人科に相談するようにしてください。相談を行うことで、例えば異所性(子宮外)妊娠といった事態を避けることが可能になります。
妊娠初期によくみられる症状のひとつに頭痛があります。
妊娠中の頭痛のほとんどは片頭痛で、原因としてはホルモンバランスの変化、鉄欠乏性貧血、脱水症状、ストレスなどがあげられます。
妊娠すると、今まではお気に入りだった香水の香りが突然イヤになってしまうことがあります。ほかにも、タバコの煙で吐きそうになったり、焼肉屋のそばを通り過ぎるたびに気持ち悪くなったりすることがあります。これは、妊娠中の女性の体は感覚器官が敏感になっているためで、妊娠前は特に気にすることもなかったものにも強く反応してしまうようになるのです。
妊婦のうち、4分の1近くが妊娠初期に出血を経験します。この出血は、通常であれば生理が始まる時期に起きることが多いです。この出血が必ずしも早産の兆候を示しているわけではありませんが、それでも出血が見られる場合は、医師の診察やベッドで安静にすることなどが必要です。
妊娠初期に「だるさ」が続くのは、「プロゲステロン」という黄体ホルモンの分泌量が増えるためだと考えられています。
プロゲステロンの分泌が落ち着くといわれる妊娠12週~16週ごろまで、妊娠中でも仕事や家事などがあって完全に休むのが難しい場合でも、できるかぎり無理をしないで過ごすようにしましょう。