ヘルペスはキスでうつるの?できない期間はいつまで?

2018/5/11 記事改定日: 2019/2/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

口周辺、または唇に小さな水膨れ(水疱:すいほう)ができたことはありませんか? 口唇ヘルペスは、患部に直接接触することで感染するため、パートナーが口唇ヘルペスにかかっていると「キスすると、自分もヘルペスに感染するのでは?」と不安になってしまうこともあるでしょう。本当に口唇ヘルペスはキスで感染するのでしょうか?
以降で解説していきます。

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ヘルペスはキスでうつるの?

キスによって口唇ヘルペスに感染する可能性はあります。

口唇ヘルペスは、「単純ヘルペスウイルス1型」というウイルスに直接・間接的に接触することで感染します。口唇ヘルペスを発症すると唇や口のまわりに水疱ができるのですが、その部分からはウイルスがたくさん排出されています。

そのため、症状が出ている状態でパートナーとキスをすると、大量のヘルペスウイルスに直接接触してしまうので、ヘルペスに感染する可能性が高くなります。

性器ヘルペスはキスでうつる?

最近の研究で、単純ヘルペスウイルス1型(くちびる、顔面などの上半身に発症)、2型(性器を中心とする下半身に主に発症)ともに、症状がないときでも唾液中にウイルスが排泄される場合があることがわかりました。

そのためキスした皮膚に傷などがあった場合、唾液から単純ヘルペスウイルス2型に感染する可能性があります。ただし、唾液から検出される2型ウイルスの量は、性器から検出される量に比べて少ないので、性器からの感染よりは可能性が低いとされています。

口唇ヘルペスの症状がないときもキスでうつる?

口唇ヘルペスの原因となるウイルスは、一度感染すると神経細胞の奥深くに潜み続けます。では、ヘルペスウイルスを持ってはいるものの症状は出ていないという場合、キスをしても大丈夫なのでしょうか?

基本的にヘルペスウイルスは、症状が出ている部分(特に水ぶくれの部分)からたくさん排出されるようになっています。
そして症状がおさまるとウイルスは神経細胞の奥深くに潜み、外に出てくることはまずありません。

そのため、パートナーが口唇ヘルペスに感染していたとしても、“症状が出ていないときであれば”キスをしても感染することはないとされています。

まれに症状がないときにうつることがある

ウイルスを持っていても症状が出ていない場合、大抵ウイルスは神経節に潜んでいるのですが、まれに唾液や精液などにウイルスが含まれていることがあります。そして、その状態でキスや性交渉をするとパートナーに口唇ヘルペス、性器ヘルペスを感染させてしまう可能性があります。

特にパートナーが抗体を持っていない場合には、重症化することもあるので、心配だという方は抗体の有無を検査してみましょう(症状が出たことのない方の検査は自費診療になります)。採血から結果がでるまでは約5日~1週間ほどかかります。

キスはいつから再開してもいいの?

ヘルペスウイルスがうつる可能性がある期間については、「かさぶたが自然に剥がれるまでになったら感染の可能性はほぼ無い」と考えて良いでしょう。

口唇ヘルペスは、発症後に水ぶくれができ、それが増殖する期間が一番ウイルス活動が活発になるとされています。
その後、水ぶくれがただれ、かさぶたになっていくとともにウイルス活動は徐々に治まっていきますが、かさぶたが完全に乾く状態の前はまだその奥でウイルスは活動を継続しているのです。

その時期に何らかの理由でかさぶたが剥がれ直接・間接的に接触すると、それが感染経路となる可能性があります。そのため、かさぶたになり始めても、しばらくは様子を見るようにしましょう。

治るまでの期間と経過

口唇ヘルペスは初めて感染した場合と再発した場合で、症状の現れ方が異なります。

まず、初めて感染した場合、感染してか3~7日ほどの潜伏期間を経て、口唇部やその周囲にピリピリとした痛みやかゆみが生じ、その後半日ほどで発疹が現れ、2~3日ほどかけて水膨れを形成します。

小児の場合は軽い症状のみのことが多いですが、成人の初感染の場合は重症化することが多く、強い痛みを伴う口内炎や発熱・倦怠感などの全身症状を伴うことも少なくありません。水膨れは一週間ほどで潰れてかさぶたになり、自然に脱落して治ります。

一方、再発は、体調が悪い時や疲れている時など免疫力が低下しがちなときに生じやすく、口唇部のピリピリ感とそれに続発する発疹、水膨れ、かさぶた形成といった流れは初感染の場合と同様の経過をたどります。しかし、再発の場合は重症化することはほとんどなく、全身症状は伴いません。

おわりに:ヘルペスウイルスに感染している可能性のある相手とのキスは避けよう

口唇ヘルペスは、その原因となる単純ヘルペスウイルスに直接的・間接的に接触することによって感染します。そのためパートナーに口唇ヘルペスの症状が出ているときは、キスをしないようにするというのはもちろん、患部に触れたりタオルや食器の共用はしないようにしましょう。自分が感染しているかどうか気になるという方は、医療機関で抗体の有無を検査しましょう。

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