記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/18 記事改定日: 2020/1/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
不正出血はピル服用中に起こりやすい副作用の1つですが、出血が止まらないといつまで続くのか不安になり、病気なのではないかと心配になる人も多いです。今回の記事では、そんなピル服用中の不正出血の原因を中心に解説していきます。
不正出血とは、生理中でないにも関わらず性器から出る出血のことです。
子宮のがんやポリープなどの器質的な病気が原因となることもありますが、ホルモンバランスが乱れて子宮内膜の増殖・成熟に異常が生じることが原因で引き起こされることもあり、子宮外妊娠など早急な治療が必要になるケースもあります。
一般的な不正出血には次のような特徴があります。
生理初日からピルを飲み始めると、少量の出血が何日も続くことがありますが、これは、もともと月経血として出るはずだった経血が、ピルの働きによって抑制され少しずつ排出されるからです。
ピル服用中に生理が起こらないのは、ピルの成分によって子宮内膜が剥がれ落ちないように働くからですが、まだ体内に剥がれ落ちた子宮内膜が残っていると、出血が続く場合があります。この場合の出血は、体内に残った血液が排出されるまで、少量ずつ1~3週間ほど続きます。
ピルによって一時的にホルモンバランスが崩れると「破綻出血」と呼ばれる出血が起こることがあります。
通常、生理は卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の働きによってコントロールされていますが、どちらかが過剰に体内にあったり逆に不足していたりすると、正常に生理が来なくなります。そしてピルにはエストロゲンとプロゲステロンが含まれているため、服用することで、体内のホルモンバランスを整え、生理をコントロールすることができます。
しかし、デイワンスタートやサンデースタートでピルを服用すると、生理前の状態にピルのホルモンが加わることでエストロゲンが急増し、ホルモンバランスが崩れることがよくあります。またエストロゲンは、子宮内膜を増やしたり厚くする効果があるため、子宮内膜を支えるプロゲステロンの量がエストロゲンの量に対して少ないと、厚みのある子宮内膜を支えることができなくなってしまいます。その結果、子宮内膜が剥がれ落ち、出血が起こってしまうのです。
また、破綻出血はシートの中間から後半にかけて起こることが多く、休薬期間を取らずに何シートも連続服用した場合にも起こることがあります。
ピルの飲み忘れがあると、体内のホルモン量が減少する「消退出血」と呼ばれる現象が起こることがあります。
ピルに含まれているプロゲステロンには、子宮内膜を子宮に留める働きを持っているのですが、飲み忘れによって体内のプロゲステロン量が減少すると、子宮内膜が剥がれ落ちて出血が起こります。消退出血は飲み忘れのあった数日後に起こることが多く、服用予定時間〜48時間以上の飲み忘れがある場合は消退出血が起こる可能性が高くなります。
不正出血を起こす病気には以下のようなものがあります。
このように、不正出血を起こす病気は数多くあるため、自分で原因を特定することはできません。そのため不正出血がある場合には、自己判断せず、医療機関で診察を受けましょう。
ピル服用中のホルモンバランスの乱れによる不正出血の場合は、生活習慣を見直したりストレスを解消することで改善される可能性があります。しかし、卵巣や性器の異常が原因の場合もありますので、不正出血時に痛みが伴ったり気になる症状がある場合には、なるべく放置せずに病院で診てもらいましょう。
また、不正出血が気になるので服用を中止したいという場合には、シートの途中で飲むのをやめることは必ず避け、1シートを飲み終わってから服用を中止しましょう。