記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
更年期に差し掛かった頃から、動悸や息切れが起こるようになることがあります。今回の記事ではそんな更年期の動悸を緩和する、おすすめの漢方薬や対処法をご紹介します。
閉経前後の時期に起こる更年期障害では、ホットフラッシュや息切れのほか、動悸が起こることも少なくありません。こうした更年期の症状は、漢方医学では「気・血・水」のうち「気」や「血」の乱れ(気の流れの異常や血流悪化、血液不足)からくるものと捉えられており、それぞれの乱れを正す効果があるとして、漢方薬は古くから役立てられています。
更年期の動悸に効く漢方薬としては、以下の3つがおすすめです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、全身に栄養を与え、血流を改善するとともに水分代謝を整える作用があるとされ、冷え性や生理不順、更年期障害の改善に効果を発揮するとされる漢方薬です。虚弱体質で貧血の傾向がある方におすすめで、動悸やめまい、下腹部痛などの症状を緩和すると考えられています。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、「気」の巡りを良くして、体内にこもった熱を冷まし、脳の興奮を緩和する効果があるとされる漢方薬です。体力中等度以上の方に適しており、更年期障害や動悸、不眠、イライラ、便秘などの改善におすすめです。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、「気」の巡りを良くして、喉のつかえや違和感の改善を目指す漢方薬です。体力中等度以上の方に適しており、動悸やめまい、喉の異物感、不安神経症などでお悩みの方におすすめです。
更年期の動悸を軽減するためには、以下の対処法が有効です。
動悸が起きたら、まず腹式呼吸で深呼吸をしましょう。リラックスしながら、息をゆっくり口から吐き出してお腹をへこませ、次はお腹を膨らませるようにして息を鼻からゆっくり吸うようにしてください。
手首の横皺の上の、小指側の窪みにある「神門(しんもん)」というツボは、自律神経を整え、動悸を緩和する効果があるとされます。動悸が起こったらゆっくりと深呼吸をしながら、親指を差し込むようにしてこのツボを何度か押してみてください。
生活習慣を改善することも大切です。例えば、ウォーキングや水泳などの適度な運動で血行が改善すると、更年期症状の緩和にもつながります。また、十分な睡眠をとって体調を整えることも重要です。
動悸が起こったら、エッセンシャルオイルを2滴ほど染み込ませたハンカチを鼻に当てながら、ゆっくり深呼吸してください。特におすすめのオイルは、神経を鎮める効果の高いラベンダーです。
以前は更年期症状の治療ではホルモン療法が主流でしたが、近年では体質自体に働きかける漢方薬も評価が高まりつつあります。ただ、適した漢方薬は人によって異なるので、主治医や薬剤師に相談をすることが大切です。
また、ご紹介した対処法も簡単に行えるものばかりなので、ぜひお試しください。