記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/14
記事監修医師
前田 裕斗 先生
おりものは、生理や妊娠、ホルモンバランスの変化や病気を知らせてくれる大事なバロメーターですが、おりものは茶色やピンクに変色することがあります。そして、そんなおりものの変色は不正出血によっても起こります。以降では不正出血の場合のおりものの色や量、においの変化などについて解説します。
おりものは、女性器から出る分泌物の集まりで、腟の粘膜を潤したり、腟内を酸性にして、外から雑菌が入り込むのを防ぐ働きがあります。また、受精を促すはたらきもあります。
一般的なおりものは乳白色で、少しすっぱいにおいがしますが、おりものの状態や量は人によって異なり、月経周期や年齢によっても変化します。そして不正出血が起こると、血液がおりものに混ざることでおりものの色が変化する場合があります。
体内で出血が起こってから時間が経つと、体内で酸化した血液が茶色や赤褐色となって、おりものに混ざる場合があります。
体内で出血が起こってから比較的短い時間で血液が体外に排出される場合には、赤い鮮血と白いおりものが混ざることでピンク色に見える場合があります。
不正出血が起こったときに必ずしもおりものの量が増えるというわけではありませんが、原因によってはおりものの量が多くなる場合があります(茶色いおりものが大量に出る場合には出血量が多い可能性があります)。
子宮頚部の内側の粘膜が外に広がっている状態を「子宮腟部びらん」と呼びます。女性ホルモンの分泌が活発な時期に起こる生理現象で、おりものが多くなったり不正出血が起こることがあります。病気でないのであまり心配する必要はありませんが、おりものが多すぎて不都合がある場合や不正出血が多い時は治療を行うこともあります。
不正出血の原因疾患によっては、おりものが茶色くなったり、おりものから悪臭がしたり膿のようになったりすることがあります。明らかに普段と違うにおいがする場合やにおいが強い場合には、感染症などの疑いがあるため医療機関を受診しましょう。
不正出血と悪臭を放つおりものの原因疾患としては、以下があります。
白~黄色、黄緑がかった膿状のおりものが出て、かつ悪臭を放つ場合には、淋菌感染症に感染している可能性があります。淋菌感染症は性行為によって感染する病気で、主な症状としては、下腹部痛、骨盤の痛み、発熱、不正出血などがあります。
子宮頸がんになると、不正出血によりおりものが茶色になったり、悪臭がしたりする場合があります。
子宮頸がんは子宮の入り口である「子宮頚部」にできるがんで、比較的発見しやすく、早期に発見・治療をすれば治りやすいがんであるとされています。発見が遅れると治療が難しくなるため、がん検診で定期的にチェックするようにしましょう。
不正出血が起こると、おりものの色の変化だけでなく、腹痛や腰痛、性交痛、排尿痛・排便痛などの症状を伴うことがあります。こうした症状がある場合は、病気が原因で不正出血が起こっている可能性が高いため、すぐに医療機関を受診しましょう。
ホルモンバランスの乱れによる一時的な出血である場合には、不正出血以外の症状がない場合も考えられますが、以下のような症状がある場合には子宮や腟の病気やホルモン異常にかかわる病気、性感染症といった病気が原因となっている可能性があります。心当たりのある場合は、すぐに婦人科に相談しましょう。
おりものが茶色やピンク色に変化した場合には、不正出血の可能性があり、健康に支障のないものもあれば、がんの兆候となるものもあります。不正出血にはできるだけ早い段階で気づき、早期に治療を開始することが望ましいので、異変に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。