緑内障の原因 ― 糖尿病や紫外線は緑内障の原因になる?

2018/8/1

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

日本人には緑内障の患者さんが多いですが、特に糖尿病があると、たとえ血糖コントロールがよくても、緑内障にかかりやすいとされています。また、紫外線は目に悪いと言われていますが、緑内障への影響はあるのでしょうか?緑内障と糖尿病、紫外線などの関係について解説していきます。

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糖尿病が緑内障の原因になるの?

まず「緑内障」とは、本来眼圧が高くなることにより、視神経が障害されて、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気です。ほとんどの場合、症状が進行するまで自覚症状がないため、検査によってはじめて緑内障と診断されます。

日本人の失明の原因は第1位が緑内障となっており、病気の患者数は今後さらに増えていくと懸念されています。1度失ってしまった視力や視野は薬や手術によっても回復することはないので、早期発見と適正な治療が望まれます。

糖尿病網膜症と緑内障

糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症の1つです。緑内障に次いで、日本人の失明の原因となっています。そして、糖尿病網膜症に関連する合併症の中で最も重篤なのが、血管新生緑内障です。

糖尿病などが原因で網膜の血管がつまると、神経が酸欠状態になります。そして、酸欠状態が目の前のほうにまで及ぶと、虹彩や毛様体という場所に新生血管が出てきます。この新生血管は出血しやすいことに加えて、隅角という目の中を循環する水の出口を塞いでしまいます。そして、出口を失った水が眼球の中に閉じこめられることにより、徐々に眼圧があがって緑内障の状態となります。緑内障になると、神経が高い圧力に負けて死滅し、最終的には失明に至ります。

点眼や内服薬では眼圧を下げることが難しいため、手術をする場合が多いです。しかしこれらの手術は目に大きな負担となり、また確実な効果が得られる保証はありません。最終的には失明状態になる場合がほとんどなのです。そのため、このような事態を防ぐためには適切な時期に適切な予防手術が必要になります。

紫外線は緑内障の原因になる?

基本的には紫外線により緑内障のリスクが増えることはありませんが、長時間紫外線にあたりすぎると、翼状片など眼表面の病気や白内障の発症などのリスクになる可能性があります。ただし何時間以上あたると発症するなどという正確なデータはありません。

なお、紫外線は視神経より黄斑部網膜(おうはんぶもうまく)に影響を与えると考えられていますので、サングラスを上手に活用してみるのもいいでしょう。

緑内障はどうすれば予防できる?

緑内障は遺伝的な要素に加えて、加齢、喫煙、自律神経失調、糖尿病、高血圧、近視などの要因が加わり起こるとされています。しかし、初期にはあまり症状が見られないので、生活習慣やストレスに気をつけるとともに、定期的に眼底、眼圧、視野などの検査を受けて早期発見に努めることが大切になります。

また、長時間うつむいたまま仕事をする、ネクタイ強く締め続ける、大量のカフェインを摂取する、抗うつ剤の服用をする、などをしている場合は、眼圧を高める可能性がありますので、注意しましょう。

緑内障になったらパソコンは使わないほうがいい?

緑内障が初期の人は、パソコンを使用しても特に問題はないのですが、症状がある程度進行している人はできる限り眼の酷使はさけましょう

おわりに:自分の症状に合わせた予防・治療を

緑内障と診断されたら、眼圧の程度、緑内障のタイプ、視野変化の程度などをしっかり把握した上で、経過観察、管理を長期間にわたり継続することが大切です。また、緑内障の症状には個人差が大きく、左右の眼で進行度が異なることもあるため、同様の症状や経過が見られるわけではありません。予防や改善を行う際にも、原因となっている習慣や生活を見直し、自分に合った予防法をする必要があります。治療を行う際は、主治医とよく相談してから行いましょう。

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