記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/8/7
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
緑内障はよく知られている病気ですが、未だに完全に治す方法は見つかっておらず、手術後も悪化させないように点眼薬などで治療を続けることが必要になります。そんな長く付き合っていかなければならない緑内障ですが、手術後のコンタクトレンズの使用は可能なのでしょうか?手術の注意点などと併せて解説していきます。
手術後にコンタクトレンズを使用したい方には、線維柱帯切開術が行われます。
点眼剤などの治療でも眼圧が下がらず、視野障害が進行している場合には、手術をする必要があります。手術時間は多くの場合、約60~90分です。
緑内障の手術で合併症などが生じる確率はとても低いのですが、100%何も起こらないというわけではないので、以下のことを承知した上で手術を受けるようにしましょう。
基本的に、白目の出血は術後1週間くらいで吸収されますが、眼の中に出血を起こすこともあります。しかしその場合も通常は数日で吸収され、出血量が多い場合には洗浄する方法もあります。
また、極めてまれですが、「駆出性(くしゅつせい)出血」と呼ばれる合併症が起こる場合があります。手術中に眼球内に大量に出血が生じるもので、眼の寿命にかかわる合併症です。しかし予測不能に起きるため、確実な予防法はまだありません。眼に力が入ると生じやすいとされていますので、手術中に「トイレに行きたい」「足がしびれた」「息が苦しい感じがする」「ちょっと、痛い」など気になることがありましたら、我慢せずに声で医師に伝えるようにしましょう。
手術中、もしくは手術後に眼球内に細菌が入り込み、炎症が広がる状態のことで、最悪の場には失明してしまうケースもあります。発生率は眼科の手術全体で0.1%以下とされています。症状としては、視力低下、充血や痛みが続くなどがあり、発症したら早急に処置をすることが必要です。
ごくまれに、視野がとても進行した状態の方で、手術後に中心部の視野が失われて急激に視力が悪くなってしまう場合があります。
麻酔薬でショック(強いアレルギー反応)が起こったケースはほぼありませんが、万一ショックが起きた場合には適切な処置が必要になります。
手術後数週間は、眼圧が高いもしくは低いか、安定しないことがあります。眼圧の状態によっては何らかの処置をする必要になることがあります。また、眼圧がとても低い場合には見えづらくなります。緑内障の手術後は、手術前より見えづらい時期がしばらく続くことが多いので、医師に相談し説明を聞くようにしましょう。
緑内障手術の前日には感染症予防として、入浴・洗髪をきちんと行い、清潔を保つようにしましょう。また、緑内障手術直前までは 緑内障の目薬をいつも通りに継続しましょう。
緑内障手術後は、これまで使用していた緑内障の目薬は一旦すべて中止になりますので、注意しましょう。
また、緑内障手術後早期の入浴は肩から下のシャワーのみにとどめ、顔も濡れタオルなどで軽く拭く程度にして、目の周りを刺激しないようしてください。洗顔と通常通りの入浴は3日後から可能になります。また、術後1週間は傷口が開きやすく、細菌が入りやすい状態ですので、目を押したりこすったりすることは控えましょう。
緑内障で、失われてしまった視野は現在の医学では回復しません。しかし、自覚症状のないうちに緑内障を発見してそこで治療をしておけば、進行を止めることができます。緑内障は早期発見・早期治療が一番大切な疾患ですので、不安のある方は早めに眼科の受診をしましょう。