記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
思春期を迎えた子どものことが心配ですか?この時期の子どもは、今までと違う行動をとることが多いです。たとえば、うつや摂食障害といった精神的なストレスを抱え込む子どももいれば、ドラッグやアルコール、無防備なセックス、犯罪に手を染めてしまったりする子どももいます。不安定な子どもに、親はどんなふうに接していけばよいのでしょうか。
思春期の少年少女がとる行動は、不安定で予測できない場合が多いため、その行動が「思春期にありがち」なのか、深刻なことが子どもの身に起きているのかを区別しづらいことがあります。でも親として、注意すべきいくつかの危険シグナルはあります。
たとえば、ものすごくおしゃべりだった子どもが急に無口になったら、それが思春期ならではの原因からなのか、それとも別の問題を抱えているのか、様子を探ったほうがよいでしょう。以下に、思春期を迎えた子どもたちと接するためのヒントをご紹介します。
子どもの変化に不安になって、親としては子どもに構いたくなってしまいがちです。しかし、思春期は子どもにとって身体的にも感情的にも親から離れるための大切な時期なので、ぐっとこらえて子どもの変化を遠くから注意深く見守ることが大切です。
しかし、それでも心配なときは、心を開くよう促してみてもよいと思います。真正面から向き合おうとするとかえって心を閉ざしてしまうので、子どものそばにいるようにして、子どもから話をするのを待つようにしてあげてください。また、話し始めたときは、言いたいことがあってもこらえ、子どもが話し終えるまで聞いてあげてください。
自宅や外で一緒にご飯を食べるとき、正面に向かい合うように座ってしまうと子どもが息苦しさを感じてしまいます。子どもがリラックスしてご飯を食べられるよう、互いの目を合わせずに済むような位置に座るようにしてください。
子どもがあなたと話すことをいやがったり、より深刻な問題を抱えているのではないかと不安になったりしたときは、ほかのコミュニケーション手段を検討しなければならないかもしれません。
そのようなときは、子どもに「何か困難なことに遭遇しているのではないかと心配している」と素直に打ち明けましょう。それでも子どもがあなたと話したがらないなら、それでかまいません。ただし、そのことを第三者(電話相談や医師、家族共通の友人など)に相談することをお勧めします。
助けを求める方法と場所を決めさせるのもお勧めです。たとえば摂食障害が心配な場合、医師に相談するか、友達に打ち明けるかを選ばせるのです。
以下のような症状は、思春期の少年少女がとるごく一般的な行動です。ただ、事前にそのことを知っていればいざというときに役立ちます。それでも不安なときは、そのことを子どもに話したり、医師のアドバイスをもらったりしてください。
思春期のうつ病の症状として、次のようなものがあります。
・落ち込みや悲しみをいつまでも引きずる
・絶望感や無力感を言葉にしたり、態度に表したりする
・頻繁に涙ぐむ
・他人に敏感に反応したり、気にしなくなったりする
・かつては興味を持っていたことに、ほとんど、もしくはまったく興味を示さなくなった
・動作や話すスピードが遅くなる
・食欲または体重の変化(通常は減少するが、増加する場合もある)
・原因不明の痛みが頻繁に起こる
・睡眠リズムの乱れ(たとえば、特に早朝や夜間に起きてしまう)
・学校への興味を失ったりさぼったりする
・「退屈で寂しい」とたえず不満をつぶやく
最も一般的な摂食障害には、食欲不振、過食症および過食があります。摂食障害の兆候として、以下のようなものがあります。
・食べ物に強い興味や関心を持ち、体重が増える
・友人や家族が心配するほどやせているのに「もっとやせたい」と言い張る
・本当は食べていないのに、もう食べたと周囲の人に思い込ませる
・食生活のことを言わない
・食事を勧められたときにいらいらしたり、怒ったりする
・何度も嘔吐したり、下剤を飲んだりする
自傷行為は友人や家族に内緒にしてやっていることがほとんどです。また、洋服などで隠しやすい場所に傷をつけていることも、特徴の一つです。
思春期の子どもが自傷行為をしているような気がしたときは、次のような兆候がないか調べてみてください。
・手首や腕、太ももなどに、切り傷やたばこを押し付けたような痕がある
・暑いのに長袖を着ている
・うつの兆候がある
・食生活の変化
・異常な体重減少もしくは増加
・自尊心が低い
・髪の毛を引っつめている
・アルコールや薬物乱用の兆候
思春期の子どもが薬物を摂取している疑いがある場合、次のような兆候がみられます。
・趣味やスポーツ、その他の好きな活動に興味がなくなる
・見た目や清潔さへの関心を失う
・行動が劇的に変わる
・突然、まったく新しい友だちのグループを作る
・極度の疲労や食欲不振
・学校をさぼる
・瞳孔が開いている。もしくは目が充血している
・肌が荒れている
・お金遣いが荒い。また、その理由を説明するのをいやがる
・親の財布からお金を盗む
子どもの部屋あるいは家の中に次のようなものをみつけたら、子どもがドラッグを使っている証拠です。
・パイプ
・巻き紙
・小さな薬瓶
・目薬
・ブタンライター
・缶やペットボトルから作られた自家製の水パイプ(水をフィルターとして使うパイプ)
・焦げた銀紙
・剃刀の刃
・注射器
思春期を迎えた子ども自身も、体や気持ちの変化についていけず、どうしたらいいかわからないこともあります。思春期は子どもが大人になるための大切な時期。子どもがこの時期を乗り越えてたくましく成長するよう、じっと見守ってあげましょう。とはいえ、危なっかしいと思ったら、手を差し伸べることも忘れずに。