記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/20 記事改定日: 2020/3/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
授乳している時に乳首への違和感があったり、乳房が張っていると感じたことはありませんか?その際、もし乳首の先に白いできもの=白斑があったら、「乳口炎」を発症しているかもしれません。そこで今回は、乳口炎の症状や対処法などをご紹介します。
乳口炎は、母乳の出口である乳口(乳首)が炎症を起こした状態のことです。乳頭に白いにきびのような「白斑」という1~2mm程のできものができ、母乳の出口を塞いでしまいます。ちなみに、白っぽいできものの正体は水ぶくれ(水疱)や母乳のかす(乳脂肪の塊)であり、血液の入った血豆ができることもあります。
乳口炎を放置すると炎症が広がり乳腺炎となって、乳房の痛みやしこり、高熱などの症状が出ることがあります。
乳口炎の主な原因は
です。
乳口炎は、赤ちゃんが乳首をくわえ方が浅すぎるといった「母乳の飲み方」の問題で乳首の先に傷がついたり、授乳間隔が空き過ぎることで飲み残した母乳で乳口が詰まることなどで引き起こされます。
乳口炎になると、おもに以下のような症状が現れます。乳口炎は繰り返し発症することも多いので、一度症状が出始めると授乳期間中にずっと悩まされ続けることになる人もいます。
乳首に水ぶくれができ、徐々に白くなっていくのが乳口炎の始まりです。母乳が詰まったり、赤ちゃんの飲み方が浅い状態が続くと、かさぶたや血豆ができることもあります。
授乳時の激痛が走ることがあります。乳房に触れただけで痛い場合もありますが、赤ちゃんへの授乳を止めてしまうとさらに母乳が詰まり悪化してしまいます。
母乳を赤ちゃんが飲み残すと、腫れやしこりとなることがあります。
乳口炎の症状がみられたら、以下のような方法を試してみてください。
乳口炎ができたら、しっかりと授乳を続け、赤ちゃんに母乳を飲んでもらってください。またいつも同じ抱き方をせずに、乳首の根元から赤ちゃんが深く加えられるような抱き方を探して試してみましょう。
縦抱きや横抱きなどさまざまな抱き方をすることで、赤ちゃんが色々な方向から乳首を吸ってくれるようになり、偏りなく吸ってもらうことができます。
血行を良くすることで、白いできものが取れやすくなるといわれています。ゆっくり湯船に浸かったり、温かい飲み物を飲むなどして体を温めるよう心かげましょう。
授乳時間が空き過ぎてしまうと、乳房の張りが強くなるといわれています。また、乳口炎になると乳首の周りが硬くなる場合もあります。このようなときにはそのまま授乳せずに、温めたタオルなどを使って乳房をマッサージしましょう。
とくに乳房の張りが強いと感じたときには、授乳前にタオルに少しだけ母乳を搾るといった工夫すると、張りがほぐれやすくなります。
母乳が詰まりやすくなる原因のひとつに、ストレスや疲れの蓄積があります。天気のいい日は赤ちゃんを連れて散歩に出かけたり、アロマを焚いて気分転換などをすると、母乳も出やすくなるといわれています。
搾乳することで、乳口にできた傷を悪化させることなく、授乳を続けることができます。赤ちゃんが普段よりも母乳を飲んでくれない場合には、搾乳して乳房を休ませましょう。また同時に、赤ちゃんにとっても安全性が高い保湿剤である「馬油」や口内炎治療薬の「デスパコーワ」を乳口に塗って早く乳口の炎症を抑えることは、授乳の早期再開につながります。
早く乳口炎を治したいからといって、白斑を針などで潰そうとするのは大変危険です。皮膚を傷つけることで細菌感染などが起こり、さらに炎症を悪化させる恐れがあります。
もし授乳や保湿、マッサージなどでも白斑・乳口炎が治らないという場合には速やかに病院を受診してください。自己判断で治そうとするのではなく、医師や助産師などから適切な処置をしてもらい、乳腺炎を予防しましょう。
通常であれば、断乳した際に残った母乳は体内に吸収されます。ただし白斑ができたまま断乳した場合は、母乳がそのまま残ってしまい、炎症を起こす可能性があります。
断乳する際には母乳を残したままにせず、きちんと取っておくことが必要です。もし断乳に不安がある場合は、病院に相談してみてください。病院で母乳を出し切ってもらえたり、アドバイスをもらえるなど、今抱えている不安を解消することができるでしょう。
乳口炎の多くは、上で述べたようなセルフケアや生活改善をすれば自然に改善していきます。しかし、次のような症状がある場合は治療が必要なこともありますので軽く考えず病院を受診するようにしましょう。
乳房の悩みは、授乳育児をしている人なら尽きないものかもしれません。乳房の張りや痛みもそのひとつです。白いできものなどといった乳口炎の症状がみられたら、この記事を参考にして症状の改善を心がけましょう。それでも治らないようであれば、早めに病院を受診することをおすすめします。