ADHDの症状について―大人の症状や原因、治療法を解説

2018/5/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

発達障害(ADHD)の人は、子供の頃には目立たなかった特性が大人になり表に現れることがあります。大人になってからADHDの症状が現れ始めると、社会生活を営む上で困難になる場合が多く、仕事や人間関係で深刻な悩みを抱えることがあります。大人のADHDの症状や原因、治療法などを解説していきます。

大人のADHDの症状とは

ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は日本語に訳すと、注意欠如多動性障害と呼びます。ADHDの症状として、注意散漫、衝動的な行動などがあります。個人により特徴の出方は異なり、年齢を重ねることで変化する可能性もありますが、基本的には以下のようなタイプ別に分かれます。

  • 不注意優勢型
    必要とされていることに集中・集中を継続させることが苦手なタイプ
  • 多動/衝動性優勢型
    必要のない動作や行動が目立ち、衝動的に行動を始めるタイプ
  • 混合型
    不注意優勢型と多動/衝動性優勢型の特徴を併せ持つタイプ

ADHDの予後(長期的経過の見通し)を左右する要因

長期的な経過をたどるタイプは以下のように3つに分けられます。

  • 成人期までに症状が消失するタイプ
  • 成人期まで症状が継続するタイプ
  • 症状の継続に加えて、気分障害・アルコール・薬物依存などの他の障害を伴うタイプ

また、長期的な経過をたどっても、改善が見込まれる場合には以下のような特徴があります。

  • ADHD以外の障害の合併がない
  • 知的能力に障害がない
  • 著しい劣等感や自尊心の低下が見られない
  • 感情が安定している
  • 過去に何かを成し遂げたことがある
  • 周囲の理解やサポートを受けられる環境がある

大人のADHDの原因は?

実はまだ、ADHDの詳しい原因は明らかにされていません。しかし、最近では脳の画像診断結果により神経生物学的な原因の関与や、遺伝との関係性、脳内神経伝達物質との関わりなどが明らかにされつつあります。その他に考えられる原因として以下のようなものがあり、複数の要因が絡み合い発症に至るとされています。

  • 遺伝的な原因
  • 出産時に生じた障害
  • 脳の形態学的な異常
  • 神経伝達物質のバランスが乱れる機能異常
  • 環境的な原因

大人のADHDの治療法は?

ADHDはその根本的な原因が複雑に絡み合っている場合が多く、治療をすることが難しい病気です。しかし、トラブルへの対処法の教育・療育などのシステムの利用や、症状を抑える薬の処方、また、周囲のサポート環境を整えることなどにより、本人が生活しやすい環境にしていくことは可能です。

また、大人で社会生活に支障をきたしている場合、例えば、仕事でのミスの連発や約束事を忘れる、時間に遅れるなどの症状がある場合でも、発達障害者支援センターや精神科などで相談することで、改善が見込まれる可能性があるといわれています。

おわりに:ADHDの症状がある人は医療機関に相談を

大人になり、初めてADHDを自覚した人は混乱することも多いでしょう。しかし、大人になってから症状が顕著に出始めるケースは珍しくはありませんので、困ったことや悩みがある場合は、まず医療機関に相談してみましょう。診察を受けることでご自身の症状のタイプや対処法なども詳しく教えてもらえるはずです。アドバイスを問題の改善に役立てながら、根気よく対処していきましょう。

この記事に含まれるキーワード

ADHD(18) 注意欠如多動性障害(1) 不注意優勢型(1) 多動/衝動性優勢型(1) 混合型(2)