記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
パーキンソン病は、脳の細胞の異常によって手足の震えなどの症状が現れる病気です。進行すると歩行が難しくなり、最終的には全面的な介助が必要になってくることもあります。
この記事では、パーキンソン病の進行速度について説明しています。進行を遅らせるヒントも紹介しているので、参考にしてください。
「パーキンソン病」は、脳の神経細胞の異常から、体の動きなどに障害があらわれる病気です。高齢者に多い病気ですが、若い人でも発症する場合があります。
症状の発生は進行度合いによって異なり、病気は何年もかけてゆっくりと進みます。かつては寝たきりになる病気といわれていましたが、現在では早期に適切な治療をすれば症状をかなり抑えることができ、発症してから10~15年以上、自立した生活を送ることができるようになっています。
ただしそれには、初期症状を見逃さないことが大切です。最初にあらわれることの多い症状が、身体の片側にあらわれる手足の震えや歩き方の変化であり、また最近の研究では、前触れとして便秘、嗅覚低下、うつ、レム睡眠行動異常症などがあらわれることがわかっています。これらに加えて手の震えや歩幅が小さくなったり足を引きずるような症状に気づいたら、すぐに神経内科を受診するようにしましょう。
進行度合いは、「ヤール重症度分類」により5段階に分けられています。もっとも軽度である1度では、まず片側の手足が震えたり、動作が遅く少なく小さいといった症状が出ますが、日常生活への影響はわずかです。2度になると症状が両側の手足にあらわれますが、多少不便がある程度、しかし3度になると、歩行障害や姿勢反射障害(バランスがとれない)があらわれ活動がやや制限されるようになります。
この1~3度までに治療を始めれば、比較的良い状態が保たれ大きな支障なく生活することができると考えられています。
しかし4度になると両側の手足の症状が強まり、自力での生活が困難となって介助が必要なことが多くなります。重度である5度になると1人で立つことができず、車椅子生活や最悪の場合寝たきりの状態となって全面的な介助が必要となり、精神症状や自律神経の障害など多岐にわたる症状があらわれることもあります。
パーキンソン病は、脳の奥にある「ドーパミン神経」が減少し「ドーパミン」(運動の調節を指令する神経伝達物質)が十分につくられなくなることから症状があらわれると考えられています。
ドーパミンは楽しく過ごすことで規則正しく分泌され、逆に気分が滅入ると抑えられてしまうといわれているので、進行を遅らせるには、まず「毎日を楽しく過ごす」ことが進行を抑えることに役立つ可能性があります。
趣味を持つ、何か失敗をしても周りの人が叱責したりしないことなどが大切です。
また、「毎日簡単な体操をする」ことで、体幹の筋肉や股関節の柔らかさを保つことも必要です。そのほか「規則正しい睡眠時間をとる」こと、「水分を十分に取る」ことを心がけるようにしましょう。そのほか、カフェインを含むコーヒーや緑茶などがすすめられることもあります。
パーキンソン病は、さまざまな症状を起こしながら何年もかけてゆっくりと進行する病気です。重度になると寝たきりになる可能性がありますが、早目の段階で適切な治療を受ければ進行をかなり抑えることが可能とされています。初期症状に思い当ったら、すぐに神経内科で受診しましょう。