肩こりが片頭痛の原因って本当?マッサージをすれば治る?

2018/5/16 記事改定日: 2019/2/26
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

頭痛とあわせて肩こりに悩まされている人は多いのではないでしょうか。でも、「肩こりと頭痛があるからマッサージへ」と安易に考えてしまうと、頭痛を悪化させてしまうことがあるので注意が必要です。
この記事では片頭痛の予兆として現れる頭痛について解説しています。対処法も紹介しているので参考にしてください。

肩こりが片頭痛の原因になることがあるの?

片頭痛の発作が始まるきっかけは、環境的要因、精神的要因、物質的要因などさまざまで人によっても違います。発作は、「予兆期」「前兆期」「頭痛期」「回復期」を経て「寛解期」に至ります。

予兆期にはさまざまな漠然とした症状があらわれますが、「肩こり」も代表的な症状のひとつです。
肩がこるようなことをしていないのに急に肩が重くなるといった症状があらわれ、その後にひどい頭痛と吐き気におそわれるような場合、肩こりが原因で頭痛が起こっているのではなく、片頭痛の予兆として肩こりが起こっていると考えられます。

また、予兆、前兆の後(頭痛期)には、筋痛や肩こりが鈍いものから激しいものになります。脈打つような強い頭痛、吐き気、おう吐を伴って、動くと痛みが増し、日常の音や光が不快に感じられ、やがて疲労感や眠気があらわれて(回復期)、痛みは自然に消えていきます(寛解期)。

片頭痛の予兆っぽい肩こりを感じたら、薬を飲んでもいいの?

片頭痛は頭痛発作前に予兆症状が引き起こされることが多いのが特徴です。
予兆症状の現れ方は人によって異なりますが、中には「肩こり」を自覚する人もいます。

このような予兆症状を感じた場合は暗く静かな場所でゆっくり休むなどの対処を行い、治療薬(トリプタン)を予防的に服用すると発作を予防できることがあります。

また、前兆症状かはっきりしない場合でも、疑わしい症状が現れた場合は常に治療薬を携帯し、頭痛が起こり始めたらすぐに服用すると発作を最小限に止めることが可能です。

片頭痛の肩こりにマッサージは効く?

片頭痛の予兆として現れている肩こりにマッサージを行うのは、逆効果です。

頭痛でもっとも多い「緊張型頭痛」は、デスクワークや運転など同じ姿勢を長時間続けた後や精神的なストレスが続いた後に、首、肩、頭周りが緊張し血行が悪くなって痛みが起こるものです。ですから、血行をよくするマッサージなどは症状の改善に役立ちます。

片頭痛は、何らかの理由で頭の血管が拡張し、炎症を起こして痛みが生じるものと考えられています。
身体を動かすことは血行促進につながるので、痛みが出ているときはなるべく動かずに安静にする必要があり、痛みをほぐそうと血管を拡張させ血行を促進する入浴やマッサージなどをするのは、痛みを増幅させてしまう恐れがあります。
痛みが強いときにはシャワーなども避けた方が無難です。

片頭痛の肩こりは冷やす?それとも温める?

片頭痛の痛みは血管の拡張によっておきているので、温めるとますます血行がよくなり痛みが増します。

冷たいタオルなどを痛む部分に当てて冷やすと、血管が収縮して痛みの緩和できる場合があり、指でこめかみをそっと押さえ活発になった血流を阻害することで痛みが緩和することもあります。

発作が始まってしまったら、まぶしい光や大きな音、きつい匂いなどは避け、なるべく頭を動かさないようにし、少し暗い場所で痛みの激しいところを冷やし横になって症状が落ち着くのを待ちましょう。
また、睡眠をとると痛みが改善するので、可能であれば睡眠をとるようにしてください。

肩こり緩和のために鎮痛薬を飲んでもいい?

市販の鎮痛薬などで肩こりが改善することもありますが、あまりに多くのタイプの薬を服用すると「薬物乱用頭痛」を引き起こし、かえって頭痛がひどくなることもあります。
頭痛と肩こりがひどい場合は自己判断で安易に薬を服用せず、必ず医師に相談して適切な治療を受けるようにしましょう。

おわりに:肩こりは原因ではなく片頭痛の予兆。血行をよくするマッサージは逆効果の場合も!

肩こりは、片頭痛の予兆の代表的な症状のひとつです。また、予兆の後(頭痛時)にはさらに激しいものになります。しかし、痛みをやわらげようとマッサージなどをするのは逆効果です。
片頭痛の痛みは血管の拡張によって起きることから、血行を促進させることは避け、むしろ冷やすなどして血管を収縮させるようにするのが基本です。
医師と相談しながら、自分の状態にあった方法で対処していきましょう。

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