記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
振戦(しんせん)と呼ばれる身体の震えや動作の緩慢、筋肉の固縮などが起こり、転びやすくなってしまうパーキンソン病は、50歳以上の発症が多いと言われていますが、どのような原因が考えられるのでしょうか。
今回はパーキンソン病の原因として考えられる要素について、ご説明していきます。
パーキンソン病の発症原因は、近年の研究から「黒質ドーパミン神経細胞」の減少にあることがわかってきました。ドーパミンは大脳の下、中脳の黒質(こくしつ)と呼ばれる部分の神経細胞で作られており、身体の各部位への指令を伝える役割を担っています。
パーキンソン病を発症する患者は、この黒質ドーパミン神経細胞が減少することで身体への指令をうまく送れなくなり、動きにくくなったり、ふるえなどの症状が出るのです。
なお、パーキンソン病の発症原因である黒質ドーパミン神経細胞がなぜ減少するのか、はっきりとした理由はまだ解明されていません。
しかしながら、近年の研究で黒質ドパミン神経細胞が減少したパーキンソン病患者の神経細胞には、α-シヌクレインというタンパク質が蓄積されていることがわかってきました。
α-シヌクレインが黒質ドパミン神経細胞に凝集・蓄積することで、黒質ドパミン神経細胞の減少を引き起こし、パーキンソン病を発症するものと考えられているのです。
基本的には、パーキンソン病は遺伝する病気ではないと言われています。
しかし、パーキンソン病を発症する患者の一部には、家族のなかにパーキンソン病患者が見られるというケースも確認されています。このようなケースは「家族性パーキンソン病」と呼ばれ、両親から受け継いだ特有の遺伝子異常により、パーキンソン病を発症するものと考えられています。
家族性パーキンソン病の発症確率は、父方と母方の双方・どちらか片方が優性の原因遺伝子を持っていた場合には、50%程度になるとされ、双方が劣性の遺伝子であった場合には、発症確率は25%にまで減ると言われます。
近年の研究では、パーキンソン病の発症の主な原因はα-シヌクレインというタンパク質が中脳の黒質ドーパミン神経細胞のなかに蓄積することによる、ドーパミン神経細胞の減少と考えられています。しかし、この他にも家族性パーキンソン病のような先天的な遺伝子異常や、外的な環境要因など複数の原因が考えられます。人によって原因はさまざまですので、医師の診察を受けて、自分のパーキンソン病発症原因を探ることをおすすめします。