パーキンソン病の治療は、薬と手術以外にどんなものがあるの?

2018/5/18 記事改定日: 2019/6/12
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

パーキンソン病は、50歳以上の発症者が多く、身体のふるえやこわばりなどの症状が出ることで知られている病気です。
今回は、パーキンソン病の治療について、投薬治療に使われる薬の効果・特徴や副作用、手術の必要性、リハビリの内容、食事で気を付けるべきことまで、まとめて解説していきます。

パーキンソン病の治療薬にはどんなものがある?

パーキンソン病の投薬治療には、発症原因となるドパミン神経細胞の減少を補う効果のあるものをメインに、複数の薬が使用されています。
以下で、代表的な治療薬9種類の効果や特徴を簡単にご紹介します。

L-ドーパ(エルドーパ)

脳内でドーパミンに変化し、パーキンソン病患者に不足しているドーパミン神経細胞を補なう効果があります。

ドーパミン受容体作動薬

脳内でドパミンを受け取る受容体に作用し、ドーパミンが減少していても、ドーパミンが放出されているのと同じ状態に整える効果があります。

アデノシン受容体拮抗薬

ドーパミンとバランスを取って作用する神経伝達物質の1つ「アデノシン」の受容体を刺激することで、減少しているドーパミンの作用とのバランスを取る効果があります。

抗コリン薬

ドーパミン、アデノシンとバランスを取って作用する神経細胞の一種「アセチルコリン」が過剰に作用しないよう、他の神経物質とのバランスを保つ作用があります。

ドーパミン放出促進薬

ドーパミンを放出する神経細胞を刺激し、ドーパミンの分泌と放出を促し、増やす作用があります。

ノルアドレナリン補充薬

神経細胞の一種であり、ドーパミンと同様に不足するとパーキンソン病を悪化させることのある「ノルアドレナリン」を補充するための薬です。

MAO-B (マオビー)阻害薬

脳内で放出されたドーパミンの効果が、長く続くよう助ける働きのある薬です。

COMT(コムト)阻害薬

先に紹介した「L-ドーパ」がよく効き目を発揮させるために、効率よく脳に届くようサポートする薬です。

L-ドーパ賦活(ふかつ)薬

脳内で分泌・放出されるのを促進するほか、ドーパミンの効果をなくす脳内成分を排除することで、先に紹介した「L-ドーパ」の働きを助け、ドーパミンを増やす薬です。

パーキンソン病の治療薬で考えられる副作用は?

パーキンソン病の治療に使われる薬の種類と特徴を確認したところで、次は、薬の使用によって考えられる副作用についても学んでいきましょう。
以下に、パーキンソン病の治療薬の服用によって考えられる副作用を「飲み始め」と「長期間飲み続けたとき」に分けて、ご説明します。

パーキンソン病の治療薬を飲み始めたころに注意すべき副作用

  • 吐き気や食欲不振、便秘などの胃腸の症状
  • 慢性的に眠い、突然寝てしまうなどの眠気
  • 立ちくらみ
  • 幻覚

パーキンソン病の治療薬を長期間飲み続けたときに注意すべき副作用

  • 幻覚
  • 足などへのむくみ
  • ドーパミン調節異常症候群による、衝動的な買い物・ギャンブル・性的行動

また、薬自体の副作用ではありませんが、パーキンソン病の薬の服用にあたって長期的に気を付けたい症状として、以下のようなものもあります。

ウェアリング・オフ現象
L-ドーパの効き目時間が短くなる現象で、1日のなかで症状の出方にムラが出てきます。
オン・オフ現象
薬の効果が突然なくなって動けなくなったり、逆に急に効果が出て動けるようになる状態で、薬の追加や変更などによって起こりやすい現象です。
ジスキネジア
薬の効き目が出すぎたために、勝手に手足が動いてしまう現象です。

パーキンソン病の治療で手術が必要になるのはどんなとき?

パーキンソン病では、病気そのものの治療のために、外科手術を行うことはありません。
しかし、パーキンソン病の治療によってウェアリング・オフ現象やジスキネジアが出た患者に対して、症状を改善させるために外科手術を行うケースはあります。

手術には「脳深部刺激療法」と「定位的破壊術」の2種類があります。

脳深部刺激療法とは

脳の深い部分、特に視床下核(ししょうかかく)・淡蒼球(たんそうきゅう)・視床を刺激することで、症状の改善を目指します。
手術では、局所麻酔をして頭蓋骨に小さな穴を空けて脳に電極を挿入し、専用の刺激装置と連動させることで神経を刺激できるようにします。
電極を挿入する部位によって期待できる治療効果が違い、視床下核はウェアリング・オフ現象、淡蒼球はウェアリング・オフ現象とジスキネジア、視床にはふるえへの改善が期待できます。

定位的破壊術とは

局所麻酔をして頭蓋骨に小さな穴を空け、目標点(定位)に細い電極を挿入して、特定の部位を刺激・破壊して症状の改善をはかる治療法です。
目標となる部位には視床と淡蒼球が挙げられ、特にジスキネジアに見られる勝手な手足の動きを抑える効果が期待できます。

パーキンソン病のリハビリ療法では、どんなことをするの?

パーキンソン病は手足の震えや動作のぎこちなさ、手足の筋肉の固縮、姿勢反射障害などが引き起こされます。いずれも上で述べたような薬物療法を行うことで、症状の進行を予防することが可能ですが、手足の筋肉が硬くなったり、姿勢反射障害による転倒などを防ぐためにもリハビリが必要になります。

パーキンソン病のリハビリでは、筋肉や関節の固縮を防ぐための関節可動域訓練、ストレッチ姿勢の保持能力を維持するためのバランス訓練、歩行訓練などが行われます。また、手の震えなどによって日常生活上の動作に支障を来たすような場合には、手先を使うような作業療法が行われることもあります。

パーキンソン病の症状の現れ方には個人差がありますので、それぞれの症状に合わせたリハビリを続けていくことが大切です。医師や理学療法士とよく話し合いながらリハビリメニューを調整していきましょう。

パーキンソン病の治療、食事で気をつけることは?

パーキンソン病患者は、薬の副作用による食欲不振や抑うつ状態、消費エネルギーの増大、咀嚼・飲み込みへの障害が出るため、体重減少が起こりやすいと言われています。
このため、食事においてはパーキンソン病患者が十分な栄養を取れるよう、食物繊維と水分が豊富な野菜中心の食事を心がけると良いでしょう。

もし、咀嚼や飲み込みへの障害が強く出ている場合は、やわらかい食材を使用したり、材料を一口大にするなどして、食べやすいように工夫してください。

おわりに:パーキンソン病の治療法について、幅広く知っておこう

パーキンソン病の治療は、長期的な投薬治療がメインになります。しかし、薬の副作用や、薬を服用したことによって出てくる症状のために、外科手術など他の治療をするケースもあります。パーキンソン病の治療には、薬の他にも手術や食事療法など、さまざまな方法があることを知っておきましょう。

この記事に含まれるキーワード

パーキンソン病(24) 抗コリン薬(12) パーキンソン病治療薬(2) L-ドーパ(1) ドーパミン受容体作動薬(1) アデノシン受容体拮抗薬(1) ドーパミン放出促進薬(1) ノルアドレナリン補充薬(1) MAO-B 阻害薬(1) COMT阻害薬(1) L-ドーパ賦活(ふかつ)薬(1)