狭心症の原因にはどんなものがある?動脈硬化以外の原因もあるの?

2018/5/17 記事改定日: 2018/12/24
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

狭心症の原因は1つではなく、様々な要因が関係していると考えられています。こちらの記事では、狭心症の原因や、狭心症が起こるメカニズム、若い人にも多い狭心症の種類などについて解説します。

狭心症の原因になるのはタバコ?

狭心症のリスク要因のひとつに喫煙が挙げられます。タバコの煙に含まれるニコチンは、交感神経を刺激することによって心拍数を増加させたり、末梢神経を収縮させたり、血圧を上昇させたりするため、注意が必要です。

喫煙は以下のようなメカニズムで動脈硬化を引き起こすと考えられています。

  1. 喫煙によって過剰に活性酸素が増えると、血管の内皮細胞(血管の内側の細胞)が傷付く
  2. もともと血管の内皮細胞に備わっている抗酸化作用が機能しなくなる
  3. 血液中のLDLコレステロールが血管の内側の傷口に入り込む
  4. LDLコレステロールが活性酸素によって酸化する
  5. 酸化したLDLコレステロールに対処するために白血球が集まり、マクロファージ(細菌や異物を取り込んで処理する白血球の一種)に変化する
  6. LDLを取り込んだマクロファージが死滅すると、残ったコレステロールが血管内膜に溜まり、プラークを形成する(動脈硬化)

動脈硬化が進むと血管が狭くなり、血流が悪くなった結果、心臓へ流れる血液が途絶えて胸の痛みなどの症状が現れます。

高血圧も狭心症の原因

高血圧も狭心症の原因のひとつです。高血圧とは、運動や周囲の環境に影響されていない落ち着いた状態で、持続的に血圧が上昇していることを指します。遺伝的な要因は強いものの、塩分の摂り過ぎや、お酒の飲み過ぎ、肥満、何らかの疾患が原因になっていることも珍しくありません。

高血圧は、喫煙と同様に動脈硬化を進行させてしまいます。血圧が高いということは、心臓から送られてくる血液が血管の壁を押す力が強いということです。血管に圧力が強くかかっている状態が続くと、血管の内側の壁が傷付いてしまいます

その傷が原因で血管内にコレステロールが溜まることで、血管の壁が分厚くなって硬くなり、動脈硬化が引き起こされます。動脈硬化では血管が狭まって血液がうまく流れなくなるため、心臓にも血液が十分に送られなくなり、胸の痛みや圧迫感を生じるのです。

若い人に多い狭心症の原因は?

狭心症は高齢者に多い病気と思われがちですが、若い人でも狭心症になるケースは決して少なくありません。狭心症の直接の原因の多くは動脈硬化ではありますが、要因は喫煙や飲酒、不眠、運動不足、過大なストレス、疲労など様々です。こうした要因は動脈硬化の引き金にもなり、若年層の狭心症には生活習慣や食生活の乱れが影響していると考えられています。

狭心症は「労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)」と「冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)」の2つに大きく分類され、比較的若い人にも多いと言われているのが冠攣縮性狭心症です。労作性狭心症では、階段を上がる、坂道を上る、重い物を持ち上げるなど、何らかの動作の後に症状が現れます。

一方で、冠攣縮性狭心症は「安静時狭心症」とも呼ばれ、寝ている時や休んでいる時など、安静にしている状態で起こるものです。心臓の周りを走る冠動脈が一時的に痙攣(けいれん)を起こすことにより、胸が締め付けられているように感じたり(胸部絞扼感・きょうぶこうやくかん)、強く押されているように感じたり(胸部圧迫感・胸部重圧感)します。胸部だけでなく、肩や背中、首、頬、歯、後頭部、みぞおちに痛みが生じるケースも見受けられます。冠攣縮性狭心症は比較的症状が強く、発作が数分から30分程度続いたり、吐き気や嘔吐、意識消失といった症状が現れたりすることもまれではありません。

狭心症の原因に貧血があるの!?

貧血も狭心症の原因になり得ます。貧血とは、赤血球が減少した状態、あるいはヘモグロビンの合成ができない状態のことです。

赤血球は体内の酸素の運搬に大きく関わっています。そのため、貧血が進むと赤血球の減少から酸素不足に陥り、これを解消するために心拍数が増え、心臓に負担がかかってしまいます。心臓の酸素不足が狭心症のような胸痛を生じることもあるでしょう。

貧血は鉄分摂取の不足だけでなく、内臓疾患が原因になることもあります。特に内臓疾患が原因の場合、気付かない間に疾患も貧血も深刻化しているおそれが考えられるため、狭心症などのほかの疾患を防ぐためにも早めの対処が肝心です。

更年期に起こる狭心症

閉経前後の更年期に狭心症を発症することがあります。

更年期には、女性ホルモンのバランスが乱れるため、自律神経の働きも乱れやすくなります。その結果、交感神経が過剰に働いて冠動脈を収縮させ、「攣縮型狭心症」と呼ばれる狭心症を発症することがあるのです。

攣縮型狭心症とは、動脈硬化など冠動脈の異常がないにも関わらず、冠動脈が一時的に過度に収縮することで発症する狭心症の一種です。労作時ではなく夜間就寝中や明け方などに発作が起こりやすいのが特徴です。

また、更年期は高脂血症などの生活習慣病を発症しやすくなる時期です。生活習慣病は動脈硬化のリスクとなり、更年期をきっかけに急激に動脈硬化が進んで労作性狭心症を発症することもあります。
更年期は様々な身体の変化が起こりやすい時期です。定期的に健康診断を受けるなどして健康管理を怠らないようにしましょう。

おわりに:喫煙や高血圧による動脈硬化が狭心症の原因に

狭心症を引き起こす大きな原因は動脈硬化であり、動脈硬化の要因となるのは喫煙や高血圧、生活習慣や食生活の乱れなど様々です。若い人でも狭心症を起こすことがあるため、日頃から規則正しい生活を送ることが大切だと言えるでしょう。

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