ノロウイルスの予防対策では、どんなことに気をつければいいの?

2018/5/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ノロウイルスを予防するためには、具体的にどのような対策をすればいいのでしょうか?また、気をつけるべきことなどはあるのでしょうか?ノロウイルス対策の食品や消毒方法について解説していきます。

ノロウイルス対策のポイントは?

ノロウイルスの感染経路には、「人からの感染」と「食品からの感染」の2通りあるため、両方の予防対策をする必要があります。また、感染してしまった場合は、ウイルスを広げないようにすることが重要です。
そのためには、下記のことに注意しましょう。

食品からの感染を防ぐ

調理器具などの消毒
調理台や非金属性の調理器具は洗剤でしっかりと洗浄をした後、次亜塩素酸ナトリウムに浸し、よくすすいでから使用しましょう。ただし、次亜塩素酸ナトリウムは直接手に触れると、手荒れを起こす場合があるので手袋して取り扱いましょう。
食品を加熱する
加熱が必要な食品や、生で食べると危険な二枚貝などは、しっかりと加熱してから摂取するようにしましょう。
手洗いをしっかり行う
帰宅時や調理前、食事前、トイレの後などには、石鹸を使いしっかりと手洗いをするようにしましょう。また、手洗い場や水道が周囲にない場合のために、消毒用エタノールを持ち運ぶと便利です。

人からの感染を防ぐ

嘔吐、下痢物の処理
感染者の便や嘔吐物は、適切な方法で処理するようにしましょう。
付着物の消毒
便や嘔吐物が付着してしまった箇所は、消毒を徹底するようにしましょう。

特にノロウイルスが流行する冬の時期は、乳幼児や高齢者が使用するおむつ等にも、ノロウイルスが大量に含まれている可能性があるので、取り扱いには十分注意する必要があります。

ノロウイルス対策、食べ物で気をつけることは?

一般的にウイルスを処理する為には、加熱が効果的だとされています。ノロウイルスの感染が疑われる、カキ、シジミ、アサリなどの二枚貝を加熱する際には、85℃~90℃で90秒間以上加熱することが推奨されています。

ただし、ウイルス粒子の数やウイルスが存在する環境によっては、加熱だけでは不十分な場合もあるので、抵抗力や免疫力の低い乳幼児や高齢者は二枚貝の摂取は避けた方がいいでしょう。また、食事を配膳する際にも手指などから感染する恐れがあるので、運ぶ前にもしっかりと手洗いをしましょう。

ノロウイルス対策でキッチン用品を消毒する方法は?

キッチン用品の消毒方法は下記のとおりです。

  • ノロウイルスの消毒をする際には、消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)では不十分なので、次亜塩素酸ナトリウム※を使用しましょう。
    ※家庭用の塩素系漂白剤でも代用が可能です。
  • 調理器具は洗剤による洗浄後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸して、その後よくすすぎましょう。
  • まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等を消毒する際には、85℃以上の熱湯で1分以上加熱するのが効果的とされています。
  • 二枚貝を殻から出して調理すると、調理器具を汚染させてしまう可能性があるので、他の食品を取り扱う際の調理器具とは分けるのが良いでしょう。もしくは使用後はしっかりと加熱消毒を行ってください。他の食材への二次感染予防には、十分に注意しましょう。

おわりに:正しいノロウイルスの予防法を実施しよう

ノロウイルス対策には、食品からの感染と人からの感染に気をつける必要があり、そのためにはまず手洗いや消毒の徹底が必須となります。感染を防ぐための食品の加熱方法や、調理器具の消毒などを正しく行い、ノロウイルスを予防していきましょう。

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ノロウイルス(56) 次亜塩素酸ナトリウム(10) 食中毒予防(6) 加熱消毒(4)