痛風って完治するの?あの痛みを繰り返さないためにできることとは?

2018/5/21

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

痛風発作が起こると、非常に激しい痛みに襲われます。一度なったことがある人なら、二度と体験したくないと思うことでしょう。では、痛風は完治させることができるのでしょうか。
この記事では、痛風治療の目的と、治療方法について解説していきます。

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痛風は完治するのか

体内の尿酸値が上昇すると、体の関節部分に結晶としてたまってしまいます。
この尿酸の結晶を体の防衛機能である白血球が異物とみなして攻撃をしてしまい、関節などに痛みが生じる病気を痛風と呼びます。

痛風は風が吹くだけでも痛いといわれるほど耐え難い痛みを感じますが、症状は7~10日程度で治まり、また尿酸が体内にたまると再び痛みを繰り返すという特徴のある病気です。
痛風は一度発症すると完治することはなく、生涯にわたって付き合っていかなくてはなりません。
完治できない病気となると、いったいどのように治療していけばいいのかわからなくなってしまうと思いますが、痛風では寛解という状態を目指して治療をおこないます。

寛解とは病気の症状が軽減またはほぼ消失し、一時的に治っているような状態です。
つまり痛風の治療は完全に痛風が起きない状態を目指すのではなく、痛風が一時的におさまっている状態を継続することが目標となっているのです。

痛風の寛解を目指すために

痛風の原因となる尿酸は、そもそも体が新陳代謝をおこなう過程で生産される老廃物です。
この尿酸の値が正常値を大きく超えてしまうと痛風の症状があらわれるため、尿酸値を正常値以内にコントロールする必要があります。
痛風で寛解を目指すには薬の服用と生活習慣の改善が欠かせません。
尿酸値をコントロールする薬には以下の2種類が主に用いられます。

尿酸排泄促進剤

体内の尿酸が高くなる仕組みは大きく分けると2種類あり、尿酸排泄低下型と尿酸産生過剰型です。
通常、尿酸は尿と一緒に体外に出されますが、尿酸排泄低下型では尿酸を排泄する機能が低下しているため、尿酸排泄促進剤を服用して尿と一緒に尿酸が出されるように促します。

尿酸生成阻害薬

尿酸産生過剰型の場合は尿酸を体外に出す機能に問題はありませんが、体内で過剰に尿酸が産生されてしまうことから尿酸値が基準値を超えてしまう状態です。
そのため体内での尿酸生産をおさえる尿酸生成阻害薬を服用する必要があります。

生活習慣の改善も必要

痛風になっている人の多くは太り気味だったり、肥満になりやすい生活習慣を送っていることが多いといわれています。
生活習慣の改善ではとくに食生活が重要で、減量のための食生活の改善や痛風になりづらい食材選び、尿酸値を上げる大きな原因となるアルコールの制限などが必要です。

痛風はかつてぜいたく病と呼ばれたように、不摂生の結果ともいえます。
食事の量や高カロリー・高脂肪食を食べないようにしたり、栄養が少なく高カロリーのアルコールを飲みすぎたりしないようにしましょう。
アルコールのつまみになる白子、アンコウの肝、干物類などには尿酸のもととなるプリン体が多く含まれています。
プリン体を多くとると必然的に尿酸の生産も増えるため、痛風になっている人は食材選びにも注意してください。

また、プリン体は水溶性で煮たりゆでたりすると水に溶け出すので、プリン体を多く含む食材でも調理法を工夫するだけで摂取量を減らせます。そこで気を付けたいのが寒い時期に好まれる鍋物です。
鍋の煮汁に色々な食品のプリン体が溶け出していますので、最後に雑炊やおじやにして食べると大量のプリン体をとることになります。
痛風の人や尿酸値が高い人は気を付けましょう。

おわりに:適切な治療で痛風の寛解を

完治しない病気と聞くと怖いように感じますが、適切な治療をおこなうことで痛風の耐え難い痛みを発症することなく日常を送れます。
健康を意識してしっかりと生活習慣の改善に努め、医師の指示に従い薬の服用をおこないましょう。

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