副鼻腔炎の手術って痛くないの?どんな手術法がある?

2018/5/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

副鼻腔炎に限らず「手術は痛い!」というイメージを持つ方の方が多いのではないでしょうか。では、副鼻腔炎の手術は実際はどの程度の痛みを伴うものなのでしょうか?また麻酔や手術時間はどれくらいかかるのでしょうか?副鼻腔炎の手術について解説します。

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副鼻腔炎の手術は痛い?

手術直前には表面麻酔・痛みを緩和する注射剤を行い、手術中にも注射剤による麻酔を行うので、手術中の痛み自体はあまり大きくないでしょう。ただし、痛みの感じ方には個人差があります。もし痛みがある場合は、必要に応じて麻酔の追加をしてもらえる場合もありますので、医師に伝え対応してもらいましょう。また、手術中にのどに何かが溜まったときには、すぐに医師に合図して吐き出しましょう。

手術中に痛みが治まらない場合

麻酔を追加しても痛みが改善されない場合は、その部位を残して手術を中断し、術後に炎症を抑える治療を行う場合があります。

翌日以降の対処

痛みがある場合は、処方された鎮痛剤を服用します。用法用量は医師の指示を守りましょう。

昔の手術と今の手術の違い

昔の副鼻腔炎(蓄膿症)の手術は、歯茎を剥いで、副鼻腔の粘膜を全て取り除くという方法がとられていたため、蓄膿症の手術=痛い手術と考える人は少なくないでしょう。

現在の蓄膿症の手術では、内視鏡を使用して副鼻腔の自然口を少し広げるだけの「内視鏡下鼻内副鼻腔手術」が主流になっています。副鼻腔の粘膜を全てはがす必要がないため、患者さんへの負担はあまりかかりないといわれています。また、基本的に手術は2~3日間の短期滞在手術を行うことが多いです(日帰りでできる医療機関もあります)。
ただし、患部の周囲には視神経や脳などの重要な器官があるため、できるだけ手術経験の豊富な医療機関を選ぶことをおすすめします。

副鼻腔炎の手術にはどんな種類がある?

薬物治療で効果が得られなかった場合や、再発を繰り返す場合、鼻茸がある場合には手術が検討されます。
手術方法には下記のものがあります。

内視鏡下鼻副鼻腔手術

局所麻酔を投与後、鼻の中に内視鏡を挿入し、鼻内の状態をモニターで確認しながら手術を行ないます。切除する箇所は治療に最低限必要な部分のみのため、痛みや出血が少なく、患者さんに負担のかからない手術となっています。手術時間は片側の鼻で30分程度です。

鼻中隔矯正術

鼻中隔歪曲や鼻閉による副鼻腔炎の場合は、内視鏡下鼻副鼻腔手術と併用して鼻中隔矯正術を行うことがあります。鼻中隔(鼻腔を左右に分けている仕切り)の歪曲している部分の骨や軟骨を粘膜下に摘出しますが、手術は鼻内から行うため、顔の切開は行いません。また、鼻中隔は手術後も残ります。局所麻酔で行う手術のため、骨を摘出するときに音が聞こえることがありますが、痛みは軽微とされています。手術時間は15~30分程度です。

内視鏡下鼻腔手術I型(粘膜下下鼻甲介骨切除術)

鼻閉がある場合は鼻中隔歪曲矯正術と併用して行われます。また、アレルギー性鼻炎による副鼻腔炎の場合にも有効だとされています。局所麻酔で行い、手術時間は片方の鼻で10~15分程度です。また、術後に鼻粘膜が修復されるまでには2~3カ月を要するとされています。

おわりに:副鼻腔炎の手術はあまり痛みを感じずに受けれます

副鼻腔炎の手術は、その原因となる病原体により異なりますが、いずれも昔の手術と比べて痛みの少ない手術となっています。また、手術時間も片側30分程度で終わるものが多く、日帰りでできる医療機関もあります。手術をする際には、あまり身構えずに受けるようにしましょう。

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