不整脈の原因って、老化以外にもあるの?

2018/5/25 記事改定日: 2019/1/11
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

不整脈は誰にでも起こる可能性があるものであり、加齢が原因になることもあります。では、加齢以外の原因で不整脈になることはあるのでしょうか。
この記事では、不整脈の原因について説明していきますので、早期発見や予防に役立ててください。

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不整脈の原因に老化が関係している?

「不整脈」とは、脈の打ち方がおかしくなる状態をいいます。健康な成人の安静時の脈拍は、1分間に60~80回程度ですが、不整脈になるとドキドキと動悸がしたり、脈が異常に早くまたは遅くなったり、飛んでしまって不規則になったりします。

その原因としてまずあげられるのは、加齢です。心臓は電気刺激によってコントロールされていますが、年齢を重ねるにつれて刺激伝導系(刺激を伝える働き)の機能が低下し、不整脈が生じやすくなるといわれています。また、生まれつき体質的に刺激伝導系に異常がみられる場合もあります。

そのほか

  • 心臓の病気が二次的に電気系統の異常を起こして不整脈が出やすくなる
  • 病気の治療のために服用している薬が不整脈を誘発
  • ストレスや睡眠不足、疲労、喫煙、飲酒など

が原因になることもあります。

不整脈の原因となる病気とは

心筋梗塞心筋症など心臓自体に病気のある場合、心臓の筋肉が障害を受けていると刺激伝導系にも障害があらわれて不整脈が起こりやすくなります。また、心臓の心拍数や収縮力は、ホルモンや血液中の電解質イオン、自律神経活動などによって調整されていますので、これらのバランスが崩れるような病気の合併症として不整脈が現れることがあります。

そのほか、高血圧、肺の病気、甲状腺の異常などがあると不整脈がでやすくなり、病気そのものではなく心臓病などの治療薬の副作用として不整脈が起こることもあります。上記の持病があったり薬の服用があって心当たりのある症状がある人は、主治医やかかりつけの薬剤師に相談しましょう。

検査をしても原因がわからない場合は、心臓に負担をかけるさまざまな要因が複合的に合わさって不整脈を悪化させている可能性もあります。

飲酒が不整脈の原因になるのはなぜ?

アルコール摂取量は、増えるにしたがって高血圧や不整脈を起こしやすくなり、心肥大や心不全などの心臓の病気、脳出血やクモ膜下出血の危険因子ともなります。飲み過ぎは肝臓や胃腸を痛め、精神・神経系にも悪影響を及ぼし、近年ではアルコール依存症の増加も問題になっています。

しかし、飲酒自体は悪いことばかりではありません。飲酒には、心筋梗塞や狭心症など虚血性心臓病、少量であれば心不全やがんなどにも予防効果が確認されています。米国がん学会の研究では、1日30ml(日本酒1合、ビール大瓶1本)を超えると死亡リスクが次第に高まるものの、心臓病による死亡は低く抑えられるとしています。

世界保健機構(WHO)などでは、飲酒は1日30ml以下(女性はその半分)とすることをすすめています。ただし、これはあくまでも一般的な基準であり、健康な人の場合の目安です。飲酒量については、個人個人の症状に応じて医師と相談しながら決めるようにしてください。

タバコやカフェインが不整脈の原因になるの?

不整脈は思わぬ嗜好品が原因となって引き起こされることがあり、代表的なものではタバコやカフェインが挙げられます。

タバコに含まれるニコチンは心拍数の上昇や血管収縮による高血圧を引き起こします。心拍数が上昇することで「動悸」を感じる場合もありますが、長期的に喫煙を続けると高血圧などが原因の動脈硬化を引き起こし、心臓に過度な負担がかかって不整脈の原因となることがあります。

また、カフェインも過剰に摂取するとアドレナリン分泌が促され、心拍数の増加を引き起こします。また、脈が飛ぶように感じる期外収縮の原因となることもあります。
このように、日常生活上の嗜好品が不整脈を招くことは少なくないのです。喫煙習慣がある人は、不整脈以外にもさまざまな病気のリスクとなるため一刻も早い禁煙が望まれます。カフェインなども適度な摂取量を心がけるようにしましょう。

おわりに:体質、飲酒を含む生活習慣、心臓の病気などが原因の場合も。自己判断は禁物です

不整脈の原因は、加齢のほかに先天的な体質、心臓の病気の二次的な症状や治療薬の副作用の場合もあります。ストレスや睡眠不足、疲労、喫煙、飲酒などによっても起こりやすくなります。
自己判断せずにきちんと検査をして原因を確かめたうえで、医師と相談しながら対処していきましょう。

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