不整脈の検査にはどんな種類があるの?

2018/5/23 記事改定日: 2019/1/11
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

不整脈の検査は、不整脈の有無やその種類の確認、今後の治療方針を決めるための重要な資料となります。
不整脈の検査方法や検査の目的について解説していきます。

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不整脈の検査:ホルター心電図

一過性の不整脈の診断には、24時間心電図を計測・記録をするホルター心電図検査が行なわれます。ホルター心電図検査とは、心電図波形を測定するための電極を胸に貼り付け、記録する機器を腰に固定して行う検査です。そしてその状態のまま普段の生活を送れるため、忙しい人でも手軽に受けられるようになっています。

検査方法

検査を行う際は、いくつかの電極を胸部に貼り付け、そこで得た心電図を腰に固定させる小型の機器に記録させます。記録装置の中にはカセットテープがあり、24時間の心電図の情報を記録できるようになっています(最近では記録する際にICカードを使用する機器もあります)。

ホルター心電図は電極の数が少ないため、一般的な心電図と比較すると精度はやや落ちますが、不整脈の診断をするうえでは問題ありません。また同時に狭心症発作時の心電図変化も記録することも可能です。記録装置はベルトで腰回りに固定したり、肩からつるして使用します。

検査を受けるときの注意点

  • 記録装置は防水ではないので、シャワー・入浴は厳禁となります。
  • 検査の際に渡される記録用紙には、検査中に症状が現れた場合の発症時間や持続時間、詳しい症状などを記載しましょう。

検査結果測定

記録用紙に書かれた日常行動や発症時間と、24時間記録された心電図の記録をもとに、不整脈の有無やその種類などを解析します。その後担当医が解析結果をもとに患者の診断を行います。

不整脈の検査:運動負荷心電図

運動負荷心電図検査は、さまざまな種類の運動を行い、運動前と運動後の心電図をそれぞれ記録する検査です。不整脈の患者さんが可能な運動レベルや、日常生活で控えるべき行動などを判断する際に用いられます。安静時には不整脈があまりない場合でも、運動をすると症状が悪化する場合や、逆に運動をすると症状が軽快する場合もあります。

トレッドミル運動負荷検査
ベルトの上を走り、心電図を測定する検査。
自転車エルゴメーター運動負荷心電図検査
自転車をこいで、心電図を測定する検査。
マスター運動負荷心電図検査
階段の昇り降りをして、心電図を測定する検査。

不整脈の検査:心臓カテーテル検査

カテーテルと呼ばれる細長いチューブを、大腿の付け根・腕・手首などの動脈・静脈のどちらかから挿入して心臓内まで進め、心臓内の小部屋や血管の状態を撮影したり圧を測る検査です。

検査を行う際は局所麻酔を使用します。一般的には翌朝には通常の生活に戻れ、体に大きな傷も残りません。
血液の塊ができるのを予防するため、抗血小板薬が処方される場合もあります。

カテーテル検査でわかること

カテーテル検査では、血管の形・走行・狭い場所・詰まりの有無、などを確認することができます。
狭心症や心筋梗塞などの、冠状動脈の狭まり・詰まりが原因で発症する病気の診断に適しているとされ、冠状動脈内にカテーテルを使用して造影剤を注入することで血管の病変などを診ることもできます。

不整脈の検査:埋め込み型ループ式心電計

埋め込み型ループ式心電計とは、胸部の皮下に装置を植え込み、心臓の拍動を監視するという検査です。心臓の拍動に異常が見られたときに心電図記録されるので、的確に不整脈時の心電図波形を記録することができます。

不整脈は心房細動などのように常に拍動の異常が生じているものもありますが、突然発症して突然正常に戻るようなタイプのものも多く、失神などの症状があったとして不整脈が出ている時に心電図を記録することはできません。一方、埋め込み型ループ式心電計では、身体に埋め込まれた器機が継続的に拍動を監視して、不整脈時の心電図を記録することが可能なのです。

おもに原因不明の失神を繰り返し、不整脈が疑われる場合に行われます。埋め込む心電計は非常に小さなスティック状の器機で、埋め込む際の皮膚切開は2㎝ほどと体への侵襲(組織へのダメージや刺激)が最小限に抑えられています。また、一定期間埋め込んで、診断が下された後は心電計を取り外す手術が行われます。

おわりに:検査の種類によって診断できる項目が異なります

不整脈の検査は、検査したい場所や症状により検査方法が異なります。一過性の不整脈の診断にはホルター心電図、運動に関する検査は運動負荷心電図、心臓内の様子を見るためにはカテーテル検査などさまざまです。
検査を受ける際にわからない事や不安な事がある場合は、医師に確認してみましょう。

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