記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/23 記事改定日: 2019/1/9
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
異常に脈が速かったり、遅かったり、または飛んだりする不整脈は、薬でも治療できるのでしょうか?
ここでは不整脈の代表的な治療法の種類とそれぞれの特徴について説明していきます。
不整脈とは、脈拍が速くなったり遅くなったり、脈が飛んだりしてリズムが乱れる病気です。
不整脈には様々なタイプがあり、その原因も多岐に渡ります。そして、治療の必要性や予後などもさまざまあります。
一般的に治療が必要な不整脈は、脈が遅くなったり、突然速くなったりするタイプのものや、脈のリズムが乱れるタイプのものです。脈が遅くなる不整脈は、心臓が全身に送り出す血液量が低下することで失神などの症状を引き起こし、心臓に過度な負担がかかることで心不全を発症することもあります。
また、突然脈が速くなる不整脈では血圧が低下してめまいや失神などの症状を引き起こし、中には心室頻拍や心室細動などのように突然死の原因になるようなものもあります。
脈のリズムが乱れる心房細動などは心臓内で血栓が形成されやすくなり、脳梗塞の原因となることがありますので抗凝固薬の服用などを続ける必要です。
一方、脈がたまに飛ぶように感じる期外収縮は30代以上の人では多くの人に単発的に見られる不整脈であり、治療の必要がないことがほとんどです。また、精神的な原因や運動・飲酒などによって脈が速くなることも少なくありません。もちろん、これらの不整脈も治療は必要ありません。
このように、不整脈には治療の必要があるものとないものがあります。不整脈を自覚した時は、病院で検査を受けてどのようなタイプの不整脈なのか診断してもらい、治療が必要な場合には適切な治療を続けるようにしましょう。
不整脈には「頻脈性不整脈(拍動が多いタイプの不整脈)」と「徐脈性不整脈(脈拍が少ないタイプの不整脈)」があり、通常、薬での治療が行われるのは頻脈性不整脈の場合です。頻脈性不整脈は、下記のようにいくつかの種類に分けることができます。
このような頻脈性不整脈に処方される薬は主に抗不整脈薬で、拍動を安定させる「ナトリウムチャネル遮断薬」「カリウムチャネル遮断薬」「カルシウム拮抗薬」、交感神経の興奮を抑制して心拍をコントロールする「β遮断薬」の4種類があり、不整脈のタイプによって適切な薬は異なります。例えば心室頻拍などの不整脈の場合はまずβ遮断薬を投与し、効果が得られなければカリウムチャネル遮断薬に移行していくのが一般的です。
ただし、抗不整脈薬によって新たな不整脈が起こったり、間質性肺炎などの副作用のリスクもあるため、服薬中は通院や定期検査を行うことが重要です。
なお、心房細動による不整脈の場合は、血栓によって脳梗塞を引き起こす恐れがあるため、ワルファリンなどの抗凝固薬を処方するケースもあります。
頻脈性不整脈の治療では、カテーテルによって、頻脈の原因となる心臓の異常な電気刺激経路を焼き切る「カテーテルアブレーション治療」が実施されることがあります。治療では局所麻酔をし、直径2mmほどのカテーテル(管)を心臓に差し込み、不整脈の原因となる異常部位に高周波電流を流し焼灼します。一般的な外科手術と比べ、患者の負担が少ない治療として、広く行われている治療法です。
心房細動による不整脈の場合は、先述の薬物治療のほか、補助として電気ショック治療が実施されることがあります。電気ショック治療とは、100ジュール前後の電流を一瞬体に流すことで不整脈を止める治療法です。ただし、電気ショック治療は強い刺激を伴うため、実施前には患者さんに静脈注射をし、数分ほど眠ってもらうことになります。
ICDとは植え込み型除細動器のことで、頻脈性不整脈のうち、心室細動や心室頻拍を治療する方法です。ICDは本体と導線で構成されており、本体は心臓の動きを観察し、頻脈の検出・治療をするコンピュータや、電気ショック治療に必要なコンデンサなどを内蔵しています。本体は胸部か腹部に埋め込まれ、導線は鎖骨下の静脈から右心室へ埋め込まれており、それぞれ症状に合わせた治療を行います。
徐脈性不整脈の一般的な治療法がペースメーカー治療です。手術によって人工ペースメーカーと電極を体内に埋め込み、電気を発生させることで電気の通りを正常化します。
日常生活において不安や心配、緊張を感じた際に、多少、脈が飛んだり、一時的にドキドキしたりする程度は問題ありません。しかし、より頻発する不整脈や、次のような症状を引き起こす不整脈は、深刻な状態になっている可能性が高いです。
ほとんどの不整脈は良性のもので、特に身体に悪影響を及ぼさないものが多いです。しかし、少数ですが危険であり、治療を必要とするものがあります。特に他に心疾患を抱えている場合、不整脈があると深刻です。
薬や電気ショック、ペースメーカーなど、不整脈の治療法にはさまざまなものがありますが、どれが適しているかは不整脈のタイプによって異なります。無症状であれば治療の必要がない場合もありますので、状態にあわせた治療を受けることが大切です。
気になる症状があるときは、まずは病院に相談しましょう。
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