記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/8 記事改定日: 2020/10/7
記事改定回数:2回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断で「期外収縮」と指摘された経験はありませんか?期外収縮とは不整脈の一種ですが、何が原因で治療の必要はあるのでしょうか?この記事では、期外収縮について詳しく解説していきます。
不整脈の原因の中で最もよくみられるのが「期外収縮」です。30歳を過ぎた頃からほとんどの人にみられるようになり、年齢が上がるとその数も少しずつ増えます。
期外収縮は、心臓の電気信号が本来の場所とは違う場所で発生して起こる現象です。正常な心臓では、洞結節と言われる場所が規則的に電気を送っています。
ところが、何らかの原因で洞結節以外の場所から電気が発生することがあります。この場合には、本来のリズムよりやや早いタイミングで心臓が収縮するため、ほとんど脈がふれません。
喉や胸の不快感、動悸や息切れ、ごく短い時間の痛みといった症状がみられることがあります。また、血圧低下やめまいを感じる人もいるでしょう。ただし、多くの場合で症状はみられず、健康診断などで初めて指摘されるケースがほとんどです。
期外収縮には2種類あり、心臓の上の部分である心房から発生する「心房期外収縮」と、心臓の下の部分の心室から発生する「心室期外収縮」があります。
期外収縮は、健康な状態の心臓にも起こり得ます。ストレスが蓄積していたり睡眠不足が続いた場合は、健康な人でも注意が必要です。
期外収縮による不整脈は、子供にもよく見つかります。他の病気がなくても見つかることが多く、たいていの場合症状はなくとても元気です。
子供に期外収縮が見つかった場合には、かかりつけ医か校医に紹介状を書いてもらい、小児循環器の専門医を受診しましょう。
病院では、今までの病歴を確認し、身体検査や心電図、運動前後の心電図、レントゲン、心臓超音波検査などを行います。その結果、異常がなければ気にしなくてよいでしょう。通常は、6~12か月後に再診して問題なければ、その後の運動制限や経過観察は不要です。また、普通に遊ばせても大丈夫です。
期外収縮が見つかったからといって、すぐに治療が始まるわけではありません。通常、治療が必要とされることはなく、問題なく日常生活を送ることができます。
ただし、期外収縮の頻度が多い場合や、興奮頻度が高い場合には治療が行われます。また、頻度は少ないものの自覚症状が強い場合も治療対象となります。
治療には、薬物療法とカテーテルを用いた治療法があります。
通常は飲み薬の抗不整脈薬を使用することになります。自覚症状や年齢、期外収縮が起こっている場所、心臓のポンプ機能や形態、それに加えて腎臓や肝臓の機能などやほかに抱えている病気について総合的に判断したうえで、薬の種類や数、量を決定します。
カテーテル治療では、足の付け根の血管にカテーテルを挿入して心臓まで到達したら、不整脈の原因となっている部分に直接治療を施します。カテーテル治療を行うと根治が期待できるでしょう。ただし、カテーテル治療はあまり行われることはありません。
基本的には治療が必要ない期外収縮ですが、「心室性期外収縮」の場合は治療が必要です。
注意してほしいのは狭心症などの心臓病がある人で、心室性期外収縮を放置してしまうと、危険な不整脈である「心室頻拍」や「心室細動」に繋がる可能性があるでしょう。
また、期外収縮が頻発する場合にも注意が必要です。なぜなら、心臓から送り出される血液量が減少してしまうと、脳が一時的に血流不足になるため、めまいや失神を起こしてしまうからです。特に、めまいだけでなく発作が何度も起こる場合には、期外収縮が心室頻拍に進行している可能性があるので、すぐに病院を受診してください。
期外収縮は症状がないことも多く、重症な場合を除いて治療が必要となることはほとんどありません。運動や食事など日常生活で注意しなければいけないことはとくにありませんが、重症な場合はのどや胸の不快感、痛み、動悸などの症状が現れることがあります。このような症状が現れた場合は、できるだけ安静にした状態で過ごすようにし、できるだけ早く病院を受診するようにしましょう。
また、症状があるときは過度な運動を避け、規則正しい生活リズムや栄養バランスのよい食事、十分な睡眠・休息に注意しながら過ごすようにしてください。
運動後や飲酒後に、脈の乱れを感じやすくなる人は多いです。
運動や飲酒が誘因となって引き起こされる不整脈は多々あり、交感神経が活発に働くことが原因と考えられています。
なかには心拍数の上昇を動悸や不整脈と感じる人もおり、問題のない不整脈である可能性もあります。しかし、治療を必要とする不整脈が生じる人もいることは事実ですので、まずは一度病院で検査してもらうようにしましょう。
また、健康診断などで期外収縮を指摘されたことがある人も、原因となる病気があるかどうか、心室頻拍や心室細動などのように死に至るような不整脈へ移行する可能性がないかどうかを調べてもらうようにしましょう。
期外収縮を指摘されても、多くの場合は心配のないものです。症状がなく医師からも問題ないと告げられている場合には、気にせず日常生活を送りましょう。ただし、頻繁に起こる場合には危険な状態を引き起こす恐れがありますので、すぐに受診し治療に繋げるようにしてください。
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