記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/6 記事改定日: 2019/11/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
メニエール病の治療に使われる、治療薬について知っていますか?今回は、メニエール病の症状をやわらげる薬として知られる「イソバイド®」について、その効果・効能や飲み方、副作用などについてご紹介します。妊娠中の服用や服用中のアルコール摂取のリスクについても説明しているので、参考にしてくださいね。
イソバイド®は、血液の浸透圧を大きくすることで体から余分な水分を排出するよう促す、利尿作用のあるお薬です。
メニエール病の症状は、耳のなかの内耳(ないじ)の聴力や平衡感覚を司る器官にリンパ液が溜まってむくむことが原因で起こるため、イソバイド®での症状改善が期待できます。
イソバイド®の副作用としては
などがあります。
このような副作用と思われる症状が出たときには、一時的に服用を中止し、主治医に事情を説明したうえで、服用を続けるかどうかの判断を仰いでください。
また、患者の体質などによっては、ごくまれに発疹や呼吸困難、血圧低下、動悸などアナフィラキシーショックのような症状が出る可能性があることも報告されています。上記のような重篤な副作用が出た場合は命にかかわりますので、直ちに薬の服用を中止し、医療機関に連絡して適切な処置を受けましょう。
通常、イソバイド®は液体のシロップ薬として処方されます。飲みやすいよう甘く味付けされていますが、甘さの後には独特の苦みが来るため、この味が苦手で服用したくないという人も多いです。
イソバイド®の味が苦手で飲みにくいようなら、水で薄めて飲んでもOKです。水で薄めても飲みにくければ、みかんやグレープフルーツ、レモンなど柑橘系の果汁と混ぜて飲むと、かなり飲みやすくなるのでおすすめです。
ただし、あまり薄めすぎるとイソバイド®の薬としての効果が低くなる可能性もありますので、あくまで飲みやすくする程度に薄めるよう心がけてください。
イソバイド®は妊婦の禁忌薬ではありませんが、妊婦本人の体調・体質によっては、イソバイド®の服用が胎児の成長に何らかの悪影響を及ぼす可能性も否定はできません。
妊娠中・授乳中の女性は、必ずあらかじめ医師に相談をしましょう。
メニエール病の治療としてイソバイド®を飲んでいる期間であっても、適量であればアルコールを摂取しても問題ないとされています。
ストレスが引き金となって発症・悪化するとされるメニエール病においては、適度な飲酒でストレス発散することは、むしろ症状の改善に役立つこともあるという意見もあります。
ただ、大量の飲酒や飲酒による生活環境の乱れは肉体的な負担を増やしてメニエール病のめまい症状を悪化させてしまう恐れがあります。
また、めまいの発作が治まっていないときにお酒を飲むと、アルコールが小脳に作用してめまいが悪化する可能性があるので、基本的には控えたほうがいいでしょう。
メニエール病はイソバイド®の服用を続けることで症状を抑えることができます。
しかし、メニエール病の発症や悪化には好ましくない生活習慣も大きく関与していると考えられています。規則正しい食生活、睡眠習慣を心がけ、適度な運動も行うようにしましょう。
また、ストレスも発症の引き金になることがありますので、十分な休息を取ったり趣味の時間を持ったりするなど適度にストレスを解消できる環境を整えることも大切です。
めまいが起きているときは、起き上がらずに暗く静かな場所で横になると症状が軽くなることがあります。片方の耳が聞こえにくくなるような場合には、その耳を上にして横向きに眠るとよいとされていますので試してみてください。
メニエール病は、早期に適切な治療を開始すればかなり症状が軽減され、完治する可能性もある病気です。治療内容としては、発症と悪化の引き金となる精神的・肉体的ストレスを軽減するための生活習慣の改善と、投薬での治療がメインとなります。治療薬のなかでもイソバイド®はかなり使用頻度の高いお薬ですので、効果や副作用、飲み方のコツや注意点をしっかり把握し、メニエール病治療に役立てましょう。