不眠症の治療薬、病院でよく処方されるのは?

2018/6/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

不眠症の治療では、睡眠導入剤による薬物治療が行われることがあります。今回の記事では、そんな不眠症の治療薬で、病院で処方されることのある薬の種類を詳しく解説していきます。

病院での不眠症の治療法は?

不眠症の治療にあたって、まず病院では不眠症が「一次性不眠症」「二次性不眠症」かの診断をするところから始めます。二次性不眠症とは何らかの疾患や薬物の影響による不眠症のことで、一次性不眠症とは原因のない不眠症のことです。二次性不眠症の場合は、原因疾患の治療をすることになります。

そして一次性不眠症の場合の治療法は、睡眠導入剤を用いての「薬物療法」と、生活習慣の改善や心理療法などの「非薬物療法」に分かれます。

不眠症の治療薬にはどんなものがある?

不眠症の薬物療法では、以下の薬(睡眠導入剤)を用いて治療を行うのが一般的です。

GABA受容体作動薬

「GABA(ガンマアミノ酪酸)」という脳の興奮を抑制する神経伝達物質の作用を促進することで、脳全体を鎮静化させ、眠りをもたらす薬です。
GABA受容体作動薬は、ハルシオンやレンドルミン、デパス、サイレースなどの「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と、マイスリー、ルネスタなどの「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」とに分けられます。また、入眠障害、熟眠障害、早朝覚醒などの症状に応じて、適した作用時間の薬が処方されます。

超短時間型:ハルシオン、マイスリー、アモバン、ルネスタなど

寝つきの悪い入眠障害の患者に主に処方されます。服用後すぐに効果が現れ、作用時間も短いため、翌朝には薬の作用はほぼ残っていない状態になります。国内では処方されることの多い睡眠導入剤です。

短時間型:レンドルミン、デパス、サイレースなど

作用が現れるまでの時間と、作用の持続時間が短めです。入眠障害や熟眠障害の患者によく処方されます。

中間型:ユーロジン、ネルボンなど

作用が現れるまでの時間は、超短時間型や短時間型よりは少し長く、作用の持続時間はやや長めです。遅い時間に服用すると、翌朝の起床が難しくなることがあります。早朝覚醒の患者によく処方されます。

長時間型:ドラールなど

薬の分解に時間を要するため、起床後もしばらく作用が持続し、日中も眠気やだるさが残りやすいです。うつ病に伴う不眠症の患者に処方されることがあります。

メラトニン受容体作動薬

メラトニン受容体作動薬とは、メラトニン(睡眠と覚醒のリズムを調節するホルモンの一種)と同様の働きをする薬です。脳内のメラトニン受容体に働きかけ、睡眠と覚醒のリズムを整えることで眠りをもたらします。ロゼレム®がこれに該当します。

オレキシン受容体拮抗薬

オレキシン受容体拮抗薬とは、オレキシン(覚醒状態を維持する脳内物質の一種)の作用を弱め、眠りをもたらす薬です。ベルソムラがこれに該当します。

おわりに:不眠症のタイプや程度で適した治療薬は異なる

不眠症の治療薬には、ご紹介してきたようにさまざまな種類があります。不眠症のタイプや程度によって適した薬は異なるので、医師に自身の症状をきちんと伝え、自分に合った薬を処方してもらうことが大切です。

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