ADHDの治療法について ― 薬を使う場合、使わない場合を解説!

2018/5/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療法にはどんなものがあるのでしょうか?薬での治療法と、薬を使わない治療法、それぞれの目的について詳しく解説していきます。

ADHDの治療で薬を使う場合とは?

ADHDには「多動性」「衝動性」「不注意」の3つの特徴があり、脳内の神経伝達物質のはたらきに偏りがあるといわれています。

ADHDに用いられている薬はADHDを根治させるものではなく、脳内の神経伝達物質のバランスを整えるものです。ADHDの治療では、不注意や多動性、衝動性をコントロールしながら、周囲が適切な関わりを行ったり、心理療法や行動療法などを用いたりすることで、本人が成功体験を積み重ねていくことが大切です。

日本でADHDの治療として認可されている薬としては、「コンサータ®」「ストラテラ®」「インチュニブ®」の3種類があります。ただし、2017年に認可された「インチュニブ®」は小児用の薬で、成人に使うことはありません。いずれも医師が処方する薬で、薬局やドラッグストアなどで購入することはできません。

ADHDの治療薬「コンサータ®」とは

コンサータ®はメチルフェニデート塩酸塩を主成分とし、ADHDの不注意、多動性、衝動性を和らげる薬です。

現在の研究では、ADHDの人は脳の前頭前野の働きに何らかの偏りがあるという説が有力です。神経伝達物質であるドーパミンが不足し、その他環境の要因も複雑に絡み合って、ADHDの症状を示すと考えられています。

コンサータ®は、必要な量のドーパミンが神経細胞間で受け渡しされるように、コントロールする薬です。コンサータ®は速効性が高く、身体に合う人にとっては服用後1週間以内には症状の改善が実感できるといわれています。服用後は12時間程度の効能がありますが、薬の効き方や適正量については個人差があるため、医師が状態をみながら調整を行っていきます。

コンサータ®に副作用はあるの?

コンサータ®は、服用した人の多くに副作用があるという報告があります。その症状は、食欲減退、不眠、動悸、体重減少、腹痛や頭痛などです。なかでも、食欲不振や体重減少、不眠はよくみられる症状です。あまりにも食欲が低下してしまったときには、間食や夜食などを利用して、必要な栄養を補うようにしましょう。また、朝、薬を飲む時間を早めることで、夕食時の食欲が回復したり、夜間の不眠が改善することがあります。

コンサータ®は、稀ではありますが重大な副作用の可能性もあります。皮膚が広範囲に赤くなり、強いかゆみや発熱が起こる剥脱性(はくだつせい)皮膚炎、狭心症や脳血管障害などが、これに該当します。

ADHDの治療で薬を使わない方法もある?

基本的に、ADHDは完治する病気ではありません。状態に合わせて薬を調整しながら、周囲が適切に関わり、本人自身も自分のことを理解し、トラブルに対応できるように学習を積み重ねていくことが大切です。薬以外に用いられる方法としては、心理療法や行動療法があります。

心理療法

1対1での対話や訓練などを通して、患者の考え方や行動、感情などに変化を起こさせる治療法です。子供の場合は、面談だけではなく遊びを使うこともあります。失敗や挫折に対してのケアを行うと共に、将来に向けての不安の解消などが期待されます。

行動療法

行動療法は心理療法のひとつです。行動療法では、問題となる「行動」を変化させることを目的とします。

私たちのあらゆる行動は、良くも悪くも何かのきっかけを元にして起こっていますが、ADHDの人の場合はその行動のきっかけを明確にし、目的の行動を獲得するための具体的な方法を実施します。そして、成功体験を積み重ねることで、自信と意欲を高めていくことが期待されます。

おわりに:本人だけでなく、周囲の人もADHDの理解を深めることが大切

ADHDは完治する病気ではないため、薬や心理療法などのさまざまな治療法を実践しながら、患者本人が成功体験を積み重ね、自分自身やトラブルに対処する方法を身につけていくことが重要になります。また、症状改善のためには周囲の協力も欠かせないので、患者さんの身近な人が関わり方を工夫することも大切です。

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