記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/27 記事改定日: 2020/5/15
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
B型肝炎ウイルスの検査結果には、「抗体」と「抗原」などの項目が表示されます。ただ、両者は字面が似ているため、どういう意味かよくわからない…という方も多いようです。では、それぞれ陽性のときにはどんな意味を持つのでしょうか?
B型肝炎は、「B型肝炎ウイルス」と呼ばれる病原体に感染することによって引き起こされる病気です。そのため、B型肝炎が疑われた時は、第一にB型肝炎ウイルスに感染しているか調べる検査が行われます。
感染の有無は血液検査によって調べられ、血液中にB型肝炎ウイルスに対する抗体(ウイルスを攻撃するタンパク質)やB型肝炎ウイルスの抗原(ウイルスに含まれるタンパク質)が存在するかチェックされます。
その他、肝臓の機能を調べるための血液検査、肝臓の状態を調べるための腹部超音波検査やCT検査などが必要に応じて行われます。
まず「抗体」とは、病原体などが体内に侵入したとき、それを追い出すためにできる対抗物質のことです。B型肝炎ウイルスの検査結果で表示される「抗体」には、以下の4種類があります。
このうちHBs抗体が陽性の場合は、「過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあるが、現在は治癒しており、ウイルスへの免疫ができている」ことを指します(B型肝炎ワクチンの接種後も陽性となります)。
次に、HBc抗体が陽性の場合は、「B型肝炎ウイルスに感染した」ことを示します(B型肝炎ワクチンの接種をした場合は陰性になります)。またHBc-IgM抗体の反応があれば、「最近B型肝炎ウイルスに感染したこと」を示します。
そしてHBe抗体が陽性の場合は、「B型肝炎ウイルスの増殖力が低下している」ことを意味します。
B型肝炎のワクチンを乳幼児期に3回接種した場合、そのほとんどはHBs抗体を獲得できると考えられています。HBs抗体は最低15年間は持続し、20代までに接種すれば高い効果が期待できるといわれています。
しかし、ワクチンの効果は年齢とともに低下する傾向にあり、40歳を過ぎてからの接種で抗体を獲得できる割合は、およそ8割とされています。
「抗原」とはウイルス自体の体のタンパク質のことで、B型肝炎ウイルス検査では、ウイルスに感染しているかの判定基準となります。「HBs抗原」が陽性の場合は、B型肝炎ウイルスに感染していることを示し、陰性であれば感染していないことを示します。
なお、他には「HBe抗原」というものもありますが、これが陽性の場合はB型肝炎ウイルスの増殖力が強いことを意味します。
HBs抗体が陽性であれば「B型肝炎ウイルスへの免疫ができている」ことを示しますが、HBs抗原が陽性であれば「B型肝炎ウイルスに感染している」ことを示すなど、それぞれで意味は全く異なります。検査の結果を正確に把握するために、しっかり知識を身につけておきましょう。