記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
急な下痢や嘔吐、腹痛などの症状に悩まされたときに思い浮かべるのは「食中毒」かもしれません。
風邪や頭痛などでは市販薬を使うこともあると思いますが、食中毒の場合は市販薬で下痢を抑えてもいいのでしょうか。そこで今回は、食中毒に対する市販薬の使用についての正しい知識をご紹介します。
食中毒の主な症状は、下痢や嘔吐、発熱、腹痛など風邪に似た症状で、数日~2週間程度続くといわれています。この症状は、ウイルスや細菌が腸内で増殖することによって胃腸機能が低下することで起こると考えられています。
食中毒が発生する時間や症状の程度は、原因のウイルスや細菌(病原体)の種類や体の状態によって変わります。
食中毒になっても、嘔吐や下痢を繰り返すことで病原体は排出されるため、症状は次第に緩和していきますが、長期にわたって嘔吐や下痢が続くと脱水症状を引き起こして最悪の場合死亡することがあります。特に小さな子供や高齢者の場合は、成人に比べて深刻な状態になる可能性が高いので注意しましょう。
このようなことを考えると、下痢などの症状を抑えるために市販薬を使いたくなるかもしれません。しかし、自己判断で市販薬を服用すると、ウイルスや細菌が体内に長時間留まり、症状が長引く恐れがあります。特に腸管出血性大腸菌や黄色ブドウ球菌などによる食中毒の場合は、腸内で毒素を生み、重症化を招きます。安易に自己判断で薬を服用しないようにしましょう。
嘔吐や下痢がみられても、食べすぎや飲みすぎなど、自分で原因がある程度わかる場合には自宅でケアをしてみましょう。脱水症状を予防するために水分補給をすれば、1日~2日程度で自然に回復するといわれています。ただし、安静に過ごしても症状が回復しない場合には、病院で診てもらうことをおすすめします。
また、嘔吐や下痢、また発熱や激しい腹痛がみられる場合には食中毒や感染性腸炎など、重症のケースも考えられます。下痢が長時間続く、便の色が普段と違う、血便が混じるといった場合には、内臓の疾患が原因となっている可能性もあるため、早めに病院を受診しましょう。
早く症状を抑えたいと、すぐ薬に頼ってしまいたくなるかもしれません。しかし、場合によっては重症のケースも考えられます。適切に対処し、症状が悪化しないようにしましょう。