記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺機能低下症は、首のあたりにある甲状腺という器官の機能低下によって、生命活動に欠かせない甲状腺ホルモンの量を適切な状態に保てなくなってしまう病気です。
今回は、甲状腺機能低下症の一般的な治療法や、治療で得られる効果や必要とする期間、また治療とあわせて実践したい体重管理のポイントについて、ご説明していきます。
一般的に、甲状腺機能低下症の治療では、不足している甲状腺ホルモンを補うための薬物療法が行われます。
治療に使われるのは、主にthyroxine(T4)やtriiodothyronine(T3)と呼ばれるホルモンを原料とした薬で、代表的なものではチラーヂンS®、チロナミン®などがあります。
これらの薬は用法・用量を守って服用することで、不足している甲状腺ホルモンを補い、体内の甲状腺ホルモン量を適正に近い状態に保ってくれる効果が期待できます。
また、もともと体内に存在しているホルモンからできているので、適切な服用を行っている限り副作用が出にくく、妊娠中も服用可能な点が大きな特徴です。
甲状腺機能低下症の治療薬は、およそ1か月程度飲み続けることで効果があらわれ、患者本人も症状の改善を実感できるようになってきます。
ただし、症状が出なくなったからと言って自己判断で薬の服用を中止してしまうと、症状がぶり返して体調が悪化することも珍しくありません。
治療薬で症状が改善しても自己判断で薬の服用を辞めることは絶対にせず、必ず医師に本当に薬を中止しても問題ないか相談し、検査を受けるよう徹底してください。
甲状腺機能低下症を発症すると代謝が低下しやすくなるため、患者には適性体重の維持が難しくなったり、太りやすくなるという傾向が見られます。
体重の増加は、甲状腺機能低下症の患者が感じる代表的な健康被害のひとつです。
患者が太らないようにするには、本人による食事の内容・方法の見直しが欠かせません。
まず、食事内容は代謝しにくい脂質や血糖値を上昇させやすい精製された小麦などを避け、代謝しやすい脂質と、血糖値の上昇が緩やかな全粒粉を摂るようにしてください。
代謝しやすい脂質を含む食品には、
などが挙げられます。
また、甲状腺機能低下症の患者は「ヨウ素」が不足がちになるので、ヨウ素を多く含む海藻類を多く摂り、ヨウ素の吸収を阻害するゴイドロゲンを含む食物を避けると良いでしょう。
ゴイドロゲンが含まれていて、ヨウ素の吸収を阻害する恐れのある食物には
などがあります。
飲み物には、カロリーゼロの水か、抗酸化作用・脂肪燃焼作用が期待できる緑茶をメインに、こまめに多めに摂取すると、身体の代謝が促進されます。
なお、食事は遅くとも就寝の2~3時間前までに、消化に良く低脂肪・低たんぱくなものを中心に摂るようにすることをおすすめします。
甲状腺機能低下症の治療は、不足している甲状腺ホルモンを補うためのチラーヂンS・チロナミンなどの服薬治療がメインになります。薬を適切に飲み続ければ1か月ほどで症状は改善されてきますが、薬の服用を中止するどうかには、医師の判断が必要です。甲状腺機能低下症の治療中の服薬については、体重管理のポイントや注意点などとあわせて、医師に相談するようにしましょう。