甲状腺機能低下症の診断ではどんな検査が必要?

2018/6/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

疲れやすい、寒さに弱い、むくみやすくなった、眉がうすくなった、体重が増え太ってきたなどの症状が複数出てきたら、甲状腺機能低下症かもしれません。
今回は、甲状腺期機能低下症の診断について、一般的な診断方法や診断基準、診断が下った後の治療法の見通しまで、知っておきたい情報をまとめてご紹介していきます。

甲状腺機能低下症の診断法は?

甲状腺機能低下症の診断は、「血液検査」と「シンチグラフィー」の結果をもとに行われます。そのほか必要に応じて甲状腺超音波などを組み合わせることがあります。

血液検査

血液検査では、採血して血中に含まれる「甲状腺ホルモン」とTSHと呼ばれる甲状腺の働きを支配する「甲状腺刺激ホルモンの量」を測定します。
血中に含まれる甲状腺ホルモン、TSHの量とバランスを見ることで甲状腺の機能状態を確認し、診断の助けとするのです。

シンチグラフィー

シンチグラフィーは甲状腺に放射性ヨードの取り込みをさせることで、甲状腺機能の程度をはかる検査方法です。

上記の他、医師によっては超音波検査も行ってから、これらの結果と患者本人の申告する症状から判断して、甲状腺機能低下症であるかを診断します。

甲状腺機能低下症の診断の目安となるTSHなどは何でわかる?

血液検査では、甲状腺機能低下症の診断の目安となる「FT3」「FT4」「TSH」それぞれの数値を確認します。3つの甲状腺ホルモンの特徴と検査の役割は、以下の通りです。

FT3

  • 特徴:甲状腺から分泌されたFT4型の甲状腺ホルモンが、肝臓などの臓器で変換され、他の内臓に作用できる状態になったもの。タンパク質と結合せず、血液中を浮遊している。
  • 役割:FT3の数値を見ることで、甲状腺ホルモンが身体に及ぼす影響の程度を予測できる。

FT4

  • 特徴:甲状腺から分泌された甲状腺ホルモンのうち、タンパク質などと結合せず、血液中を自由に浮遊しているもの。肝臓でFT3に変換されることで、臓器に作用できるようになる。
  • 役割:FT4の数値を見ることで、甲状腺のホルモン分泌機能をはかることができる。

TSH

  • 特徴①:脳下垂体から分泌されるホルモンの一種で、甲状腺刺激ホルモンと呼ばれるもの。
  • 特徴②:甲状腺の働きを監視し、甲状腺ホルモンの分泌量に過不足があったときに甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの分泌量をコントロールする作用がある。
  • 役割:TSHは甲状腺ホルモンが不足していると判断されると増加、甲状腺ホルモンが多すぎると判断すると減るため、TSHの数値から甲状腺ホルモンの過不足をはかることができる。

つまり、血液検査ではTSHの数値から甲状腺ホルモンの過不足状況を、FT3とFT4の数値から過不足の重症度をはかることができるのです。

血液中のTSH・FT3・FT4の数値から甲状腺機能低下症と診断されるのは、以下の2つのケースになります。

  • TSHの数値が高く、FT3・FT4の数値が低く、甲状腺ホルモンが不足している場合
  • TSHの数値が高く、FT3・FT4の数値が正常の範囲内で、わずかに甲状腺ホルモンが不足している場合

診断の結果、甲状腺機能低下症とわかったら

検査・診断の結果、甲状腺機能低下症と判断された場合は、薬を服用して不足している甲状腺ホルモンを補い、治療を進めていきます。

使われる治療薬は、甲状腺ホルモンの一種であるT4またはT3から作られるチラーヂンS®、チロナミン®のうちどちらかで、1日1~2回食後に服用します。

甲状腺機能低下症の薬は、もともと体内に存在するホルモンが原料であるため、適切な用法・用量を守っていれば副作用が出る可能性も少なく、妊娠中の服用も可能です。

飲みはじめから1か月ほどで効果があらわれ症状が改善しますが、薬の服用中止には医師の診断が必要です。症状が良くなっても、決して自己判断で薬の中止はしないでください。

おわりに:甲状腺機能低下症の診断は、血液検査を基準に行われる

甲状腺機能低下症が疑われる症状が見られる場合、採血をして血中の甲状腺ホルモンの数値を見る血液検査が行われます。血液からは甲状腺ホルモンのFT3・FT4、そして甲状腺ホルモンの分泌量を監視・コントロールするTSHの数値を確認することができ、これら3つの数値・バランスを見ることで、甲状腺機能低下症かどうかを診断する目安になります。実際の検査に臨む前に、理解しておいてください。

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