アレルギーになりやすい食品ってどんなもの?原因は?

2018/5/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

皮膚炎や鼻炎などの症状を引き起こす可能性のあるアレルギーですが、アレルギー反応を起こす対象物は、花粉や食品など人によってさまざまです。
今回は食物アレルギーの原因となりやすい食品について、食品にアレルギー反応が起こるメカニズムとあわせてご紹介していきます。

アレルギーの原因になりやすい食品は?

食物アレルギーの原因となる食品のトップ3は

  1. 鶏卵
  2. 牛乳
  3. 小麦

といわれています。

これらの他、甲殻類・果物類、そば、魚介類、ピーナッツ、魚、大豆・ナッツ類、肉類などによる食物アレルギーの発症が報告されています。

ただし、アレルギーの原因となる食品は、発症者の年齢によって変わってきます。

例えば、0~6歳までの年齢であれば、鶏卵・小麦・牛乳・甲殻類・ナッツ類・魚卵・果物類が原因で、食物アレルギーを発症するケースが多いとされます。
しかし20歳以上で食物アレルギーを発症する場合、鶏卵よりも甲殻類や小麦、果物、そばなどの方が、圧倒的に原因食品となりやすい傾向があるといわれています。

アレルギー表示が義務付けられている7つの食品とは

前項で述べた「食物アレルギーの原因となりやすい食品」のうち、トップ3の鶏卵・牛乳・小麦と、小麦、そば、落花生、えび、かにの計7食品は「特定原材料」と呼ばれます。

特定原材料に指定されている7つの食品

① 卵(鶏卵)
② 乳(牛乳)
③ 小麦
④ そば
⑤ 落花生(ピーナッツ)
⑥ えび
⑦ かに

上記の特定原材料は、食品のなかでも特にアレルギーを発症しやすく、かつ発症した場合に重篤化しやすい食品として、国から指定されているものです。

特定原材料は、これらにアレルギー反応を起こす人が口にすると、微量でも命の危険を招く事態に陥ることもあるほど、重篤な症状を起こしやすい食品です。
このため、アレルギー体質の人が誤って口にしてしまわないよう、加工食品の材料や食品添加物として使われている場合も、商品パッケージに表示することが義務付けられています。

近年では、特定原材料を何らかのかたちで使用している食品以外にも、特定原材料を扱う工場で生産された食品にも、成分混入の恐れありとして表示しているメーカーもあります。

食品でアレルギーを起こす原因は?

アレルギーは免疫異常の一種で、食物アレルギーは本来身体にとって無害である食物に対し、誤って抗体を作り出し身体を攻撃してしまうことが原因で起こります。

アレルギー反応は

  1. 原因となる食品が体内に入る
  2. 本来なら必要のない「特異IgE抗体」という抗体が作り出される
  3. 特異IgE抗体が、身体の免疫機能を司る「マスト細胞」や「好塩基球」に結合
  4. マスト細胞や好塩基球からかゆみの原因となるヒスタミンや、気管を収縮させるロイコトリエンが放出
  5. 皮膚炎や鼻炎、ぜんそくなどの症状が引き起こされる

のメカニズムで起こると考えられています。

ただし、食物アレルギーのような免疫異常は、免疫を司る器官が遺伝的・体質的に弱かったり、未熟である場合に発症することが多いとされ、身体の成長によって未熟だった免疫機能が成熟することで、子供の頃にアレルギーを起こしていた食品に大人になると反応しなくなるケースもあるといわれています。

おわりに:アレルギーを発症・重篤化させやすい特定原材料7種を覚えておこう!

食物アレルギーの原因は人によってさまざまですが、スギ花粉症になる人が多いように、食品のなかにも原因となりやすいものはあります。特に「卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに」の7つは、食物アレルギーとかかわりの深い特定原材料として、食品への表示が義務付けられています。現時点での食物アレルギー発症の有無にかかわらず、特定原材料の7食品くらいは、把握しておくと良いでしょう。

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