記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/30 記事改定日: 2019/12/11
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
モザイク型ダウン症と呼ばれるものがありますが、一般的なダウン症とはどのような違いがあるのでしょうか?その特徴やサポートのコツ、平均寿命の変化について解説していきます。
「モザイク型」とは、一部の細胞のみに21番目の染色体が3本ある症状で、ダウン症全体の1~2%の確率で発症します。
モザイク型は、受精後に起こる卵分裂の過程で、正常な細胞と異常な細胞が染色体の中で混在しており、他のダウン症(標準型、転座型)と比べると障害が軽い場合が多いとされています。
性染色体以外の1~22番の常染色体には、生命維持のために必要不可欠な遺伝情報が含まれているため、染色体異常が起こるとほとんどが流産・死産となり、長く生きれることはありません。
しかし、21番目の常染色体は小さいため、染色体の不分離・転座が起きた場合でも、障害を伴いながらも生まれてくる可能性が高くなります。
それでも出生する確率は20%ほどで、80%は流産や死産となります。
3種類の型(標準型・転座型・モザイク型)の症状にあまり差はないとされていますが、モザイク型で正常細胞の比率が高い場合は、比較的症状が軽い傾向があります。
ダウン症は、染色体異常による病気のうち最も出生率が高く、600〜700人に1人の確率で出生するとされています。
典型的な特徴として、
などの特徴があります。
また合併症として、難聴・視覚障害(遠視や乱視)を併発することもあり、病弱な体質(風邪や心臓のトラブルなど)を持つ子供もいますが、合併症の有無や症状の程度には個人差があり、ほとんど合併症がでない場合もあります。
精神運動発達の遅れはありますが、平均的に2歳頃には手を繋いで歩けるようになり、絵画や音楽、書道などの分野に進み活躍している人もいます。
モザイク型ダウン症は上でも述べた通り、他のタイプのダウン症よりも症状が軽いです。しかし、生活面などでは周囲のサポートが欠かせませんので、次のような点に注意しましょう。
現在の日本のダウン症の人の平均寿命は、約60歳ほどだといわれています。
今から50年ほど前には平均寿命10歳前後と言われていましたが、その理由として当時の医療水準の低さが指摘されています。1975年頃の医療水準では、心疾患や感染症などのダウン症による合併症を治療する事が難しかったため、ダウン症の寿命は短いと考えられていました。
現在はアメリカ合衆国でも、1950年から2010年にかけてダウン症の人の平均寿命が26歳から53歳になったり、70歳まで生きられる人が100人中約12人になったという報告もあります。
今では、ダウン症の人の平均寿命も、一般的な平均寿命に近づいてきていると言えるでしょう(アメリカ人の平均寿命は78歳)。
モザイク型で正常細胞の比率が高い場合は、他のダウン症と比較すると症状が軽い傾向があります。また、現在の日本のダウン症の人の平均寿命は、約60歳ほどだと言われており、一般的な平均寿命に近づいてきていると言えます。