記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下痢の症状があるときに処方される薬にはどのようなものがあるのでしょうか?
種類別に解説していきますので、一般知識として理解しておきましょう。
吸着薬は、有害な物質を吸着することで下痢を抑える効果がある薬です。
代表的なものにアドソルビン®(天然ケイ酸アルミニウム)があり、下痢の原因となっている細菌性の毒素や余分な水分を吸着する作用があります。
収斂薬の代表的なものとして、タンナルビン(タンニン酸アルブミン)があります。
タンナルビンは腸内でタンパク質を沈殿させて膜を作り、下痢の原因となっている炎症を抑える効果があります。ただし、ガゼインと呼ばれる乳性タンパク質が含まれているため、牛乳アレルギーの人は使用しないように注意する必要があります。
整腸剤は、腸内を整える効果のある菌を増やす薬で、乳酸菌製剤のビオフェルミン®やラックビー®、酪酸菌製剤のミヤBM®などの薬があります。
下痢の症状がある時に、殺菌作用のあるフェロベリン®(ベルベリン塩化物水和物)が処方されることがあります。フェロベリン®は、腸内の細菌の増殖を抑制したり、腐敗や発酵を抑えることで下痢を抑える効果があります。
腸管蠕動抑制薬の代表的なものとして、ロペミン®(ロペラミド)があります。
ロペミン®は、腸のオピオイド受容体と呼ばれる部分に作用することで、腸の動きを司る神経を麻痺させ、下痢を抑える効果があります。脳へは作用しないので、依存性はないとされています。ただしロペミン®を服用すると、毒素などの有害物質を体外に排出できなくなるため、基本的に細菌性の下痢には使用されません。
下痢止め薬の服用は、根本的な治療法ではなく、下痢の症状を抑えるために使用されるものです。突然起こる下痢の多くは、ウイルスによる感染症によるもので、水分補給と整腸剤の服用で数日程度で治ります。そのため、下痢止め薬を使用する必要はありません。むしろ下痢止め薬を使用することで、腸内にいる細菌・ウイルスなどの有害物質の排出ができなくなると、症状が悪化したり回復が長引く可能性があります。
しかし、実際には仕事や学校などで、下痢止め薬を使用しないと支障をきたす場合も多くあります。そのため、回復が遅れる可能性があることを自覚したうえで、あくまでも医師の許可のもとであれば下痢止め薬を使用してもかまわないでしょう。
下痢の時に処方される薬は、様々な種類があり、その人の症状や体質に合わせたものが処方されます。ただし、下痢止め薬は根本的な治療法ではないため、あくまで一時的な処置として処方されます。下痢の原因の特定や治療をするためには、医師の診察を受けましょう。