記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/12
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠してから順調に経過を迎えている妊婦さんでも、心配される方が多いのが赤ちゃんの「ダウン症」の可能性です。では、赤ちゃんがダウン症かどうかは、いつ、どんな検査で分かるのでしょうか。
出産前に赤ちゃんの病気や障害を把握する出生前診断でわかるのは、染色体に異常があるダウン症や、赤ちゃんの臓器に器質的な以上がある場合(心疾患や二分脊椎など)、特定の遺伝性疾患などです。ダウン症の可能性を判定する出生前診断や、確定診断で用いられる検査について以降でご紹介します。
ダウン症である可能性をチェックするものが次の検査です。いずれも確定診断はできず、必要であれば羊水検査を行うことになるでしょう。
ダウン症の確定診断に用いられる検査は以下の通りです。いずれもお腹に針をさす方法のため、流産のリスクがあります。
新出生前診断は、2011年にアメリカで始まり、日本でも2013年に臨床研究として始まった新しい検査です。
母体の血液から遺伝子を解析して、赤ちゃんの染色体異常を判断します。この検査は陰性(-)の結果については99.9%の確率で「ダウン症ではない」といえます。しかし、陽性(+)時にダウン症であるという確定はできず、確定をするためには羊水検査を受けなければなりません。
新出生前診断は実施している病院も少なく、受けるためにも以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
従来の検査においても、新出生前検査においても、血液検査や超音波検査のみでダウン症だと100%確定できる検査はありません。身体に負担の少ない検査から行い、確定診断までには複数の検査を用いることになります。それぞれの検査においてダウン症である確率を紹介しておきましょう。
エコー検査でダウン症かどうかを判断することは大変難しく、精度は約50%程度といわれています。特に首のむくみの測定が難しく、たとえ正確に測れたとしてもダウン症であると確定するには至らない検査です。
母体血清マーカーは血液中の3つの成分の分析を行うトリプルマーカーテスト、4つの成分の分析を行うクアトロマーカーテストがあります。測定する血液中の成分が多いクアトロテストは、トリプルマーカーと比べて、ダウン症の診断精度が高くなります。しかし、いずれにおいても85〜87%の確率であり、確定診断には用いられません。
羊水中にある胎児の細胞を用いる検査です。そのため陽性(+)であれば、ダウン症であると確定できます。
胎盤を作る絨毛を採取して解析する検査です。陽性(+)であれば、ダウン症であると考えてほぼ間違いありませんが、胎盤と胎児の細胞が異なる場合もあるため、結果は100%正しいとは言えません。
出生前検査は、ダウン症や先天性奇形などいくつかの疾患の診断を行います。2013年に始まった新出生前診断を用いても、確定診断までには複数の検査を行うことになるでしょう。また、羊水検査や絨毛検査は確定診断に用いられていますが、流産のリスクがあることには注意が必要です。