記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/10 記事改定日: 2020/6/29
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ダウン症は大人になるにつれて特徴が変化していくことがあることをご存知でしょうか。
この記事では、大人のダウン症の特徴とコミュニケーションの取り方について解説しています。特徴やコミュニケーションのコツを前もって知ることは、周囲の人たちだけでなく、ダウン症の人自身のストレス緩和にもつながることがあるので、この機会にしっかり理解しておきましょう。
ダウン症人が成長して大人になっていくと、少しずつ身体的な変化が現れてきます。
以下のような変化がみられることが多いです。
ダウン症の人が年をとっていくと、以下のような「目の症状」が現れるようになります。
また、聴覚も加齢にともにだんだんと低下していきます。
ダウン症の人は、このような変化による見えづらさや聞こえづらさを上手に表現できないため、人との関わりや外出時に不安が強くなったり、人とのコミュニケーションを避けたりするようになってしまうこともあります。
定期的に眼科や耳鼻科を受診しましょう。
ダウン症の人は歯並びの悪さや、日頃のお手入れの不十分さから、虫歯や歯周病が進行しやすいです。
お手入れや歯科治療に慣れないまま成人してしまうと、治療に行きたがらなかったり、歯磨きに対しての意見や指導を聞かないようになるため、さらに悪化させてしまうことも少なくありません。
幼少期から歯科医院に通う習慣をつけておくことが大切です。
食事へのこだわりや歯科的な問題、咀嚼の問題など、積み重なってきた習慣が合わさることで、肥満や糖尿病などの生活習慣病につながることもあります。
また、睡眠時無呼吸症候群による睡眠障害や、椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患にも注意が必要です。
ダウン症の人は、幼少時から明るく社交的で、周囲の人は穏やかといった印象を受けることが多いといわれています。また、非常に真面目で几帳面な側面を持つこともあります。
しかし、成人後は
など、それまで見られなかった行動が現れるようになり、急激に社会適応能力が低下することがあります。
ただし、このような変化は必ずしも性格の変化が原因とは言い切れません。
成人後はダウン症の人にとっても、強くストレスがかかる場面が増えてきます。
職場での人間関係や、家族の誰かが亡くなったといった家庭での変化などが強いストレスとでこのような症状が出ることもあるので、周りで影響している要因がないかを探り、安心感をもたらすような関わり方をしてあげましょう。
ダウン症の人は、程度に個人差があるものの知的障害をあわせもっています。
そのため、コミュニケーションをとるときには「伝え方」の工夫が必要になってきます。
言葉での会話が一見成り立っていても、詳しい内容までは伝わっていない
多くの事柄を一度に伝えると覚えきれない。内容を理解できない
などのトラブルが起こることもあるでしょう。
たとえば、仕事上で、仕事のやり方を伝えたり、誤りを指摘したりしなければならない場面があったとしましょう。
「ちゃんとやって」などは非常に抽象的な表現です。
など、どうして欲しいのか「具体的に伝える」ことが大切です。
また、伝える際は、シンプルに短い文で伝えることを心がけ、視覚的に伝えるためにジェスチャーや絵を用いるようにしましょう。
ただし、同じダウン症であっても、伝わりやすい方法は人それぞれです。日々のコミュニケーションの中で、相手がわかりやすい方法を見つけるように心がけてください。
ダウン症は心疾患などを併発しやすいため、以前は短命であるケースがほとんどでした。しかし、医療が発達した現在ではそれらの併発症に対する治療も確立されており、ダウン症であっても長生きできるケースが増えています。
ダウン症の人が一人暮らしをするときは、大人でも家族や身近な人のサポートが必要です。次のような点に注意しましょう。
近年では医療の発展に伴い、ダウン症を患う方の寿命もどんどん延びています。それに伴い、仕事や通学、自立した生活など様々な場面での困難さが目立ちやすくなってきたのも事実です。
ですが、日本にはダウン症の方が安心して生活できるよう支援を行っているので、次のような機関で相談することができます。積極的に利用するようにしましょう。
成人後のダウン症の人たちは、穏やかに過ごせている人だけではありません。職場や家庭などの環境変化に対処しきれず精神的な不安が強くなったり、身体のあちこちに不調がみられたりしていきます。自分で伝えることが難しい人もいますから、接する人が推測をしていくことも必要になるでしょう。
コミュニケーションの方法は、話ことばだけではなく、ジェスチャーや絵など、相手がわかりやすい方法を探っていくことを忘れないようにしてください。