喘息治療はどんなふうに行われる?目的別で薬が違うって本当?

2018/6/15

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

気管支喘息(喘息)の治療では長期間薬を使用する必要がありますが、どのような薬が使われるのでしょうか。また、薬の種類によって使用目的や使い方に違いがあるのでしょうか。
この記事では、喘息治療の薬の効果と副作用の違いについて説明していきます。発作を予防するための注意点の紹介もしているので、正しい喘息治療に役立ててください。

喘息治療のポイントは?

気管支喘息(喘息)の治療と聞くと、症状や発作が起こった時に行う吸入をイメージする人が多いのではないでしょうか。もちろん、喘息発作の症状が出ているときに使う薬も大切です。しかし、喘息の治療では、症状が起こらないように予防するための治療の方が重要になってきます。

喘息の人は、気道内で炎症が慢性的に起こっているため、ちょっとした刺激で再び発作を起こしてしまう状態です。特に、気管支の炎症が長い期間続くと気管支そのものが分厚くなり、元に戻りにくくなってしまうといわれています。この状態が長く続くと、発作が起こる頻度が高くなり、苦しい状態が続くことになりかねません。
そのため、喘息の治療では「喘息の症状を予防する治療(長期管理薬)」と「発作時に行う治療(発作治療薬)」の両方を行う必要があるのです。

喘息発作を予防する治療ではどんな薬を使う?

長期管理薬

吸入ステロイド

喘息発作を予防するために行う治療で使用される代表的な薬(長期管理薬)の代表的なものが、吸入ステロイド薬です。吸入ステロイド薬は、炎症を抑える作用がとても強く、喘息の原因である気道内の炎症に効果を発揮します。吸入式なので、薬の影響を受ける部位を最小限に抑えることができることも特徴のひとつです。

β刺激薬(長時間作用型β2刺激薬)

喘息になると気管支が狭くなるので、気管支を広げる作用のあるβ2刺激薬も使用されることも多いです。長期管理薬では、長時間効果が持続する特徴のある長時間作用性β2刺激薬が使われます。ただし、β刺激薬は気管支の粘膜の過敏性を改善しないと考えられています。そのため、基本的にはβ刺激薬だけを発作の管理をすることはなく、吸入ステロイドとの併用になります。

抗アレルギー薬

喘息の発作が、ホコリやダニなどのアレルギーによって起こっている場合は、アレルギー反応を抑えるために抗アレルギー薬も用いられることもあるでしょう。

以上の薬が発作の予防(発作管理)を目的に使われますが、発作管理で大切なのは薬だけではありません。
下で紹介するような「喘息発作が起こらない」ような生活を送ることも大切です。

  • アレルゲン(花粉・ダニ・ハウスダスト・ペットの毛など)ができるだけ少なくなる環境を作る
  • しっかり睡眠をとる
  • バランスのとれた食生活を心がける
  • 禁煙する。タバコの煙を避ける
  • お酒を控える
  • ストレスを減らす
  • 風邪などの感染症を予防する
  • なるべく寒暖差がない環境を整える
  • 適度に運動をする

喘息発作が起きたらどんな治療薬を使うの?

発作治療薬

短時間作用性β刺激薬

喘息の発作が起きたときには、即効性のある治療薬が使われます。よく使われるのが、短時間作用性のβ2刺激薬です。予防的治療でも使われるβ2刺激薬ですが、発作時にはすぐに症状を抑える必要があるため、効果がすぐ出る短時間作用性のものを使用します。

経口ステロイド

β2刺激薬でも症状がおさまらないときや、中程度の発作時には経口のステロイド剤を服用します。経口薬はβ2刺激薬ほどの即効性はないものの、炎症を抑える働きや喘息発作を鎮める働きが強くなります。発作時だけでなく、発作後数日間服用を続けることもあるでしょう。

テオフィリン薬・抗コリン薬

気管支を広げる作用のあるテオフォリン薬や、気管支を収縮させるアセチルコリンの働きを抑える抗コリン薬が使われることもあります。

これらの薬を服用しても発作が治まらない場合や、苦しくて横になれないほどの重症発作が起こったときは、すぐに救急外来を受診してください。

喘息の薬の副作用が気になるけど・・・

喘息の治療薬でよく見られる副作用には以下のものがあります。

  • 心臓がドキドキする
  • 手の震え
  • 眠気
  • 不眠
  • 口の渇き
  • 口内炎
  • 喉の痛み
  • 頭痛
  • 体重が増える

喘息治療では長期管理薬を継続して飲み続ける必要がため、副作用が人もいるかもしれませんね。
しかし、喘息の治療薬を飲んでいる全ての人に副作用が出るわけではありません。医師は、薬が合うか合わないか、発作きちんとコントロールできているかを問診し、総合的に判断して薬を処方しています。自己判断で薬の量を変えたり、薬の使用を中止するようなことは絶対にしないでください。

吸入ステロイドの副作用は?

ステロイド薬は処方される量や使い方で副作用も違います。吸入ステロイドは量も少なく肺や気管支などの一部の部位にしか作用しませんので、全身的な副作用は心配しなくてよいでしょう。また、妊娠中に低用量から中用量の吸入ステロイドを毎日使っても問題無いとされています。
ただし、吸入ステロイド剤は声枯れや口内炎などが副作用として出ることがあります。これは、吸入時の薬剤が口の中に残ることが原因であるため、吸入後にうがいをすることで防ぐことができるでしょう。

おわりに:喘息では発作を起こさないための予防的治療が大切

喘息は予防が大切な病気です。気道内の炎症が悪化しないよう、出された薬は支持通り飲むようにしましょう。また、生活リズムや環境を整え、日々体調管理を行うことも喘息治療には欠かせません。睡眠を十分に取り、無理をしないように心がけましょう。

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