記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
食物アレルギーは子供から大人までいろいろなタイプがあり、症状の出方や原因が年齢によって変わってきます。お子さんの湿疹が治りにくい場合には、食物アレルギーがその原因となっていることがあります。
この記事では、湿疹と食物アレルギーとの関係性についてわかりやすく解説しています。予防のために役立ててください。
食物アレルギーが関係する皮膚症状は大きく分けて4つあります。
今回はその中でも“食物アレルギーが関与する乳児アトピー性皮膚炎”について解説します。
小児の食物アレルギーの多くは乳児アトピー性皮膚炎と一緒に見られることが多いです。これは、“食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎”です。
なかなか治らないお子さんの湿疹に実は食物アレルギーが隠れていた、ということがしばしばあります。このタイプの食物アレルギーの症状の出方は“アトピー性皮膚炎の悪化”です。
母乳栄養の子どもがお母さんが特定の物を食べた後に湿疹を起こすこともありますし、離乳食開始後に特定の物を食べた後に湿疹が悪くなる、というのも症状です。
アレルギー体質の人は
などが原因で皮膚症状があらわれることがあります。
どの食べ物が合わないかというのは年齢によって大きく傾向が変わります。3歳くらいまでは鶏卵、牛乳、小麦、大豆などが原因となることが多いですが、これらは大きくなるにつれ耐性の獲得によって食べても症状が出なくなっていくことが多いです。
このように、食べ物によって子供が成長すると食べられるようになるものとなりにくいものがあります。大豆、小麦、鶏卵、牛乳などは比較的耐性を獲得しやすいですが、そば、ピーナッツ、甲殻類などは耐性獲得しにくいものとして知られています。
私たちの体には、体内に侵入してきた有害な細菌やウイルスなどの病原体から体を守る「免疫」という働きがあります。
「食物アレルギー」は、この免疫が本来無害なはずの食べ物に含まれるタンパク質などを異物(アレルゲン)と認識し、過剰に反応して炎症などを起こしてしまうアレルギー反応です。新生児期や幼児期に多く、3歳過ぎ頃になくなっていく場合がありますが、そのままアレルギーを持ち続けたり大人になってから発症するケースもあります。
アレルゲンとなる食物を食べてしまい症状が出てしまったら、アトピー性皮膚炎の治療をしっかりしましょう。具体的にはステロイド外用薬を十分量しっかり外用し、抗ヒスタミン薬を服用するなどです。症状がでたときの対処法については、あらかじめ医師と相談して決めておくと良いでしょう。
ただ、まずは食物アレルギー症状がでないようにすることが重要であり、そのためには原因となる食物をできるだけ除去してアレルギー反応を起こさないようにすることがとくに重要になってきます。
その食物を食べないようにする程度や方法、期間などは、人によって異なります。食物アレルギーは小児によくみられることから、ただ食べなければいいというのではなく、成長への影響を考えて適切な栄養指導のもとバランスのよい食事を心がけることが大切です。
食物アレルギーでは、さまざまな皮膚症状を引き起こします。そのうちの一つの“食物アレルギーが関与する乳児アトピー性皮膚炎”では、合わない食べ物を摂取することでアトピー性皮膚炎が悪くなることがあります。アレルゲンとなる食べ物は最小限にしながらバランスのよい食事を心がけ、アレルギー反応が起きた場合の対処について事前に医師と相談して決めておきましょう。