髄膜炎による後遺症にはどんなものがある?

2018/6/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

髄膜とは、脳を覆う軟膜やクモ膜、硬膜の総称です。そして軟膜やクモ膜、クモ膜下腔(クモ膜と硬膜の間)で炎症が起きた状態を「髄膜炎」といいます。
髄膜炎は、細菌やウイルス感染などが原因で発症することのある病気ですが、治療が遅れると重篤な後遺症が残る恐れがあります。以降では、その具体的な後遺症のリスクについて解説していきます。

 髄膜炎による後遺症とは?

髄膜炎は、おおまかに「細菌性髄膜炎」「無菌性髄膜炎」の2種類に分けられます。

細菌性髄膜炎
インフルエンザ菌、肺炎球菌、B群溶連菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌などの細菌感染が原因で起こる髄膜炎です。高齢者や免疫機能の低下した患者さんは、発症リスクが高い傾向にあります。
無菌性髄膜炎
ウイルスやがんなど、細菌感染以外の原因で起こる髄膜炎です。多くの場合は、コクサッキーウイルスやヘルペスウイルス、おたふく風邪ウイルスなどのウイルス感染が原因で起こります(「ウイルス性髄膜炎」ともいう)。赤ちゃんや子供は、夏風邪のウイルスによる髄膜炎に特に注意が必要です。

このうち、特に後遺症のリスクが高いのは細菌性髄膜炎です。治療の開始時期が遅れたり、免疫力の低い高齢者が罹患したりすると、以下のような後遺症が残る恐れがあります。

  • 認知機能の低下
  • 記憶障害
  • 歩行機能障害
  • 重度の昏睡状態
  • 耳の機能障害:難聴など
  • 目の機能障害:眼球運動障害など
  • 症候性てんかん(脳の障害や傷が原因で起こるてんかん)

無菌性髄膜炎による後遺症のリスクは?

無菌性髄膜炎の多くを占めるウイルス性髄膜炎は、数日〜2週間以内で後遺症を残すことなく完治するケースが多いです。しかし、炎症が脳まで及ぶ髄膜脳炎の状態になると、脳のむくみによって頭蓋骨で覆われた脳に圧がかかり、頭痛や嘔吐、けいれん、意識障害などが見られるようになります。そして脳細胞が傷つくと、後遺症が残ることがあります。

例えば、赤ちゃんの時期に発症すると、精神発達遅滞などの後遺症が見られることがあります。また、ウイルス性髄膜炎のうち要注意なのがヘルペスウイルス由来の髄膜炎です。症状が長引いてヘルペス脳炎に移行した場合は、意識障害や記憶障害、言語障害、人格変化、症候性てんかんなどの重篤な後遺症が残る恐れがあり、致死率も30%程度といわれています。

おわりに:脳に重篤な後遺症が残る髄膜炎。感染症の後の頭痛や吐き気には要注意

インフルエンザやおたふく風邪などの感染症がきっかけで、発症することのある髄膜炎。免疫力の低い赤ちゃんや高齢者などは、特に発症に注意が必要です。髄膜炎を発症すると、熱や頭痛、吐き気に加え、けいれんや意識障害などの異変も見られることがあるため、風邪などをひいた後にこれらの症状が続く場合はすぐに病院で検査を受けましょう。

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