記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
認知症が進行すると、徘徊するようになることがあります。徘徊が頻繁になると、認知症の本人に危険が及ぶだけでなく、介護側の負担が大きくなってしまうことになるでしょう。
この記事では、認知症の徘徊で行方不明にならないようにするための対策と徘徊をしようとしている人への対応について、具体的に説明しています。
徘徊は、一見何の意味もなく歩き回っているように見えますが、歩いている人は何かしらの目的を持って行動しています。そのため、介護者が徘徊を止めようと怒ったり行動を制限しても、本人は目的を達成していないので、強く抵抗することがあります。
したがって、徘徊が見られたときには、まずどんな目的を持って行動しているのかを確認することが大切です。屋内でよくみられるのは、トイレや部屋を探している場合です。理由を聞いてみて目的が分かれば、一緒に行動し誘導してあげましょう。理由がはっきりしない場合には、「トイレへ行きましょう」「部屋へ戻りましょう」と声かけするのも効果的です。
外に出たがる場合には、家に帰ろうとしたり、会社に行こうとしている場合が多いです。まずは、本人の気持ちを受け入れてあげましょう。そのうえで、「今日はもう遅いから泊まりませんか」や「今日は会社休みですよ」などと、本人の中でつじつまが合うように声をかけてあげてください。
徘徊の対応で大切なのは、以下の2点です。
徘徊もたびたびになると、ずっと見守っているわけにもいきません。徘徊が増えてきた場合には、事前に対策を取るのも良い方法です。
屋内であれば、トイレや部屋の場所がわかるよう目印をつけると良いでしょう。ただし、認知症の人は環境の変化に弱いので、トイレの近くの部屋に移動するという対策をとると、人によっては症状を悪化させることもあるため注意が必要です。
屋外に出たがる場合には、玄関の鍵を本人の手の届かない場所に付け替える方法もおすすめです。万が一外に出てしまったときのことを考えて、以下のような対策を取っておくと行方不明になるリスクを下げることができます。
また、デイサービスなどの介護サービスを利用すると、外出する習慣がついて自宅では落ち着くことも考えられます。介護者もリフレッシュする時間が取れるので、介護疲れを防ぐことができます。
徘徊で外に出てしまったあと行方が分からなくなった場合は、すぐに警察に連絡してください。家族だけで探そうとするのは、その間に事故に遭ってしまう可能性があるため大変危険です。実際に、交通事故や列車事故により怪我をしたり、命を落とす認知症の方も増えているといわれています。
徘徊が始まると、家族の負担も大きくなります。行方不明にならないよう、もしものときに備えて普段から近所の人や交番、民生委員に徘徊することがあると伝えておくことも大切です。最近は自治体でも認知症の方の見守りネットワークサービスを始めています。一般的には事前登録制になってますので、詳細はお住いの自治体や警察署に問い合わせてみてください。
徘徊は無意味な行動ではありません。トイレを探していたり、会社に行こうとするなど、その行動には必ず意味があります。まずは、徘徊には意味があることを理解し、そのうえで危険を回避するような対策を心がけてください。