髄膜炎の原因は、赤ちゃんや子供、大人で違う?

2018/6/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

髄膜に炎症が起こることで、発熱や頭痛、嘔吐といった症状が出る「髄膜炎」。この髄膜炎を発症する原因は、赤ちゃんや子供、大人で違うのでしょうか?以降で解説していきます。

髄膜炎の原因、赤ちゃんに多いのは?

赤ちゃんや乳幼児が髄膜炎を発症した場合、その多くは細菌感染が原因です。生後1ヶ月未満の赤ちゃんの場合はB群レンサ球菌や大腸菌、リステリア菌、5歳くらいまでの乳幼児の場合はインフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌が原因のケースが多いといわれています。

B群レンサ球菌
腟内や直腸の常在菌で、妊婦の保菌率はおよそ10〜30%といわれています。この菌を保有している母親の産道を通って生まれた場合、赤ちゃんにも感染し、髄膜炎を発症することがあります。新生児から乳児早期の細菌性髄膜炎の原因菌として、最も多いものとされます
大腸菌
腸管などに生息する細菌で、母親の産道を通じて赤ちゃんに感染し、髄膜炎を発症することがあります
リステリア菌
加熱不十分な肉や殺菌されていない乳製品に含まれていることがあります。妊婦がこれらの食品を食べ、リステリア菌に感染すると、産道を通じて生まれてくる赤ちゃんにも感染する場合があります
インフルエンザ菌b型(ヒブ)
インフルエンザウイルスとは異なる、インフルエンザ菌です。日本で発生する細菌性髄膜炎のうち、約60%はヒブが原因といわれています
肺炎球菌
肺炎や髄膜炎、中耳炎、敗血症などの病気の原因菌です。日本で発生する細菌性髄膜炎のうち、約20%は肺炎球菌が原因といわれています

髄膜炎の原因、大人に多いのは?

大人の髄膜炎の原因として多いのは、先述の肺炎球菌と、髄膜炎菌といわれています。

髄膜炎菌

健康な人の鼻や喉などの粘膜に存在する菌で、咳やくしゃみを通じて人へと感染します。菌を含んだ飛沫が気道に入り、血中から髄膜へと達することで髄膜炎を起こすようになります。髄膜炎菌性髄膜炎の発症者・年間30万人のうち、およそ3万人が死に至るといわれています
髄膜炎菌性髄膜炎はアフリカ中央部に多発しているため、この地域に渡航予定のある人はワクチン接種が必要になります。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

ウイルスが原因の髄膜炎も要注意!

髄膜炎を起こすのは細菌だけではありません。特定のウイルスがきっかけで発症することもあります。以降では、髄膜炎の原因となる主なウイルスをいくつかご紹介します。

エンテロウイルス
手足口病やヘルパンギーナなどの夏風邪の原因ウイルスで、ウイルス性髄膜炎のおよそ80%の原因を占めるといわれています
ムンプスウイルス
おたふく風邪の原因ウイルスです。ウイルス性髄膜炎の原因としては2番目に多く、おたふく風邪発症者のおよそ5%はウイルス性髄膜炎を発症するといわれています<
水痘ウイルス
水ぼうそうの原因ウイルスです
エコーウイルス
夏風邪のウイルスの一種です

ウイルス性髄膜炎は、多くの場合後遺症なく回復しますが、ムンプスウイルスの場合は難聴が、水痘ウイルスの場合は脳の障害などがそれぞれ残る恐れがあります。赤ちゃんや子供は、保育園や学校などの集団生活の場でこれらのウイルスに感染し、髄膜炎を発症してしまうケースがあるので注意が必要です。

おわりに:年齢によって原因菌の傾向は少しずつ異なる。未然に対策を

赤ちゃんも大人も、細菌やウイルス感染をきっかけに髄膜炎を発症することがありますが、年齢によって原因菌の傾向は少しずつ異なります。ワクチン接種で未然に予防できるものも多いので、感染や重症化する前に対策に努めましょう。

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