記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/18 記事改定日: 2019/1/9
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高齢者の心不全にはどのような特徴があるのでしょうか?また、治療後は症状が改善するのでしょうか?ここでは、高齢者の心不全について解説していきます。
心不全は、心臓の左側の働きが悪くなる「左心不全」と、右側の動きが悪くなる「右心不全」などの種類があります。
心不全により心臓の拍動が弱くなると、心臓から全身へ送り出される血液量が減少するため、全身に様々な不調が生じます。
心臓と肺は太い血管で繋がっているため、心不全により心臓機能に影響が出ると、肺に血液が溜まる「うっ血状態」になってしまいます。
右心不全は、左心不全に続発して起こることにより、両心不全になるという特徴があります。右心は主に血液を全身に送り届ける働きがあるため、右心不全が起こると体内の血液循環が悪くなり、うっ血状態となります。左心不全の症状は緩和しますが、全身症状に不調や悪化が起こる可能性が高くなります。
高齢者の心不全は、慢性的な高血圧や不整脈、弁膜症などによって心臓に過度な負担がかかって徐々に機能が衰えるパターンと心筋梗塞や狭心症によって心臓の筋肉にダメージが加わって機能が低下するパターンがあります。
徐々に機能が衰えて心不全を発症する場合、急激な症状が現れることは少なく、労作時の息切れや倦怠感、むくみなどの加齢による変化と思われがちな軽度な症状のみを自覚する程度に止まることがほとんどです。このため、発見が遅れることが多々あります。
一方、心臓の筋肉にダメージが加わって発症するタイプでは、急激な胸痛などの症状と共に呼吸困難、血圧低下による意識消失などの重篤な症状が現れやすいのが特徴です。
心不全の治療では、服薬治療が基本となります。
薬の服用によって、心臓の働きをサポートし、血液を押し出す力を高める効果が期待できます。主に処方される薬として、利尿剤、血管拡張薬、強心薬などがあります、また、薬の不要が難しい場合や、薬の種類によっては、点滴による投薬が行われることがあります。
心不全の予後(心不全後の生きられる期間)は、心不全の根本的原因となっている心臓病の種類や症状の程度により異なりますが、あまり良くないとされています。
重症度を判断する際には、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association:NYHA)の分類方法が使用され、難治度が上がるにつれてⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度、Ⅳ度と数字が大きくなっていきます。
重症であるⅣ度の場合は、安静時でも動悸や息切れなどの症状が起こり、そのまま放置しておくと2年以内に半数(50%)の患者が亡くなるとされています。また、Ⅲ度の状態でも死亡率は20~30%となり、心不全全体の年間死亡率は7~8%になります。
そのため、比較的軽度のⅠ、Ⅱ度の状態の時にしっかりと治療を受けることが大切です。また、高齢者の場合は、心不全で入院をするたびに重症度が一段階ずつ上がっている場合が多く、入院前の状態まで戻ることはありません。心不全が慢性化すると、入退院を繰り返し、症状の悪化をくい止めるのが難しくなります。
心不全で再入院を繰り返す原因は
などが大部分を占めるといわれています。
しかし、これらの事は毎日の生活の中で改善可能なことなので、日頃から
などの決まり事をしっかりと守るようにしましょう。心不全の予後は、きちんと自己管理を行うことで改善できる可能性があります。
心不全の予後はあまり良くないとされており、特に高齢者の場合は、心不全で入院をするたびに重症度が一段階ずつ上がっている場合が多く、基本的には入院前の状態まで戻ることはありません。
しかし、心不全の予後は、きちんと自己管理を行うことで改善が期待できるので、日頃から生活習慣を整えるよう意識することが重要です。
この記事の続きはこちら