記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2018/6/28 記事改定日: 2019/11/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
歯磨き粉だけでホワイトニングをすることは可能なのでしょうか?また、海外の歯磨き粉を使用しても大丈夫なのでしょうか?ホワイトニング効果のある歯磨き粉や、海外の製品の安全性について解説していきます。
歯を白くするには過酸化水素という成分が必要になってきます。
市販のホワイトニング歯磨き粉には過酸化水素が含まれていないため、歯科医院でやっているようなホワイトニング効果はありません。
歯科医院のホワイトニング薬剤に含まれている過酸化水素には、歯の表面のエナメル質構造を変化させる作用があるため、歯が白く見えるようになっているのです。
日本の薬事法では、過酸化水素は劇物と認定されているため、市販の歯磨き粉には使用できません。取り扱いは、歯科医師免許を持つ医師のみとされています。
市販のホワイトニング歯磨き粉の効果は、歯の表面の汚れを落とすことです。
そのため、歯の変色がコーヒーや食べ物による歯の表面の着色汚れが原因であれば、市販のホワイトニング歯磨き粉でも白くすることができます。
しかし多くの場合、歯の変色の原因は、表面のエナメル質の奥にある象牙質の変色によるものが多く、表面をいくらキレイにしても白くならないでしょう。
歯磨き粉に過酸化水素の使用を禁じているのは、日本の薬事法です。
過酸化水素の使用が許可されている国では(アメリカなど)、過酸化水素を含むホワイトニング歯磨き粉が販売されています。
このような歯磨き粉は、海外のお店やネット通販でも購入できますが、あくまでも自己責任でも使用になりますし、体への害は否定できないのであまりおすすめできません。
また海外の歯磨き粉は、その国の人が使用することを前提とした設計がなされているので、体格の異なる日本人が使用することにより、身体に異常が起こる可能性もあります。
汚れを落とす効果のある研磨剤は、使用しすぎると表面のエナメル質や歯茎にダメージを与え、知覚過敏や虫歯を引き起こす可能性があります。
また、エナメル質が薄くなることで、余計に着色しやすくなったり、奥の象牙質の変色が目立つことで、歯が黄ばんで見えるようになってしまうことがあるので注意しましょう。
歯の着色汚れを予防するには、コーヒーやワインなど歯に着色しやすい飲食物をできるだけ控えることが大切です。
また、食べたり飲んだりした後は、できるだけ早く口をゆすいだり、歯を磨いたりしましょう。また、ガムをかむことも、唾液の分泌を促して歯に付着した色素成分を洗い流すことができるためおススメです。
外出先で歯磨きができないときは、できるだけ口をゆすぐようにし、口をゆすげないときはガムを活用するようにしましょう。
市販のホワイトニング歯磨き粉には過酸化水素が含まれていないため、歯を白くする効果はありませんが、歯の表面の汚れを落とす効果があるので、コーヒーや食べ物による歯の表面の着色汚れは落とすことができます。
また日本の薬事法では、歯科医以外の過酸化水素の使用を禁じているため、海外の歯磨き粉を安易に使用することはおすすめできません。ホワイトニング効果のある歯磨き粉を使用する際は、研磨剤による歯や歯茎へのダメージに注意して使うようにしましょう。