胆石は薬で治療できる? 石を溶かす薬「ウルソ」について
2018/6/12
みぞおちなどに激しい痛みを伴うことのある「胆石」は、手術治療がメインとされています。しかし、薬では治療できないのでしょうか?今回は胆石を溶かす治療薬「ウルソ」の効能や治療効果、副作用を中心にお伝えしていきます。
胆石は薬で治療できる?
胆石の治療の選択肢には、主に以下の3つがあります。
- 治療せずに様子をみる
- 手術
- 薬物療法
まず、胆石があっても痛みや発熱などの症状がない場合は、基本的に定期的な経過観察で良いとされています。ただし、将来的に痛みが出るようになるケースもあるため、医師によっては無症状でも手術を指示する場合があります。
また、痛みや発熱などの症状がある場合には、根治治療としての手術(腹腔鏡下胆のう摘出術や開腹手術)が第一選択になります。胆石発作の痛みには個人差があるものの、強烈な場合も多く、一度発作を起こすとその後繰り返しやすい傾向にあるからです。
そして薬物治療では、「胆汁酸溶解療法」という内服薬で胆石の成分を溶かす治療法が実施されますが、これについては次の項で詳しく解説します。
胆石を溶かす「胆汁酸溶解療法」とは?
胆汁酸溶解療法とは、「ウルソデオキシコール酸」(以下、ウルソ®)などの胆汁酸を内服することで、徐々に胆石の成分を融解していく治療法です。胆石は生成過程の違いで、コレステロール胆石や色素胆石などいくつかの種類に分けられるのですが、胆汁酸溶解療法は、直径15mm未満(できれば10mm未満が望ましい)のコレステロール胆石に有効とされています。
そもそも、コレステロールを溶かすには十分な量の胆汁酸が必要ですが、何らかの原因で胆汁酸が不足したことでコレステロールが結晶化し、胆石となります。つまり、ウルソ®はその不足した胆汁酸を補う薬なのです。
ただし、コレステロール胆石だとしても石灰化していたり、直径15mm以上であったり、あるいは胆石の種類が違ったりすると、そこまでの治療効果は得られません。また、そもそも胆のうの動きが正常でないと、薬の効き目も悪くなってしまうため、ウルソ®による2年間の内服治療を行っても、石が溶けてなくなる確率は20〜30%前後といわれています。
胆石の治療薬「ウルソ®」の服用期間は?
ウルソ®の服薬による胆石治療は、半年〜2年ほどかけて行う場合が多いです。しかし、薬を飲み続けないと再発する傾向にあり、再発率は1年で約17%、3年で約40%になるともいわれています。一方で服薬を続けると再発率は約16%に抑えられることから、なかには「ウルソ®をずっと飲み続けるべき」という見解を示している医師もいます。
胆石の治療薬「ウルソ®」の副作用は?
ウルソの副作用としては、主に以下のものが挙げられます。
- 下痢や軟便
- 便秘
- 吐き気
- かゆみ
- 発疹、蕁麻疹
- 紅斑
- 発熱
- 空咳
- 呼吸困難
これらの副作用が出たら服用を中止し、早めに主治医に相談してください。
おわりに:ウルソでの治療では、胆石が再発することも多い
ウルソは胆石を溶かす画期的な治療薬ですが、限られた種類の胆石でしか十分な治療効果を得られず、また服用中止後の再発率も高いというデメリットがあります。胆石の状態によっては手術治療が望ましいこともあるので、詳しくは医師の指示に従いましょう。