記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/19 記事改定日: 2019/2/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高齢者に多い認知症。もし家族や身近な人に認知症の傾向が見られたら、どんな病院を受診すればいいのでしょうか。専門外来で受けることになる検査や認知症の診断基準、そして診断を受けることによるメリットや費用も併せてご紹介します。
認知症の早期発見、診断、治療は多くのメリットがあります。たとえば、原因が脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などの場合は脳外科処置で、甲状腺ホルモンの異常が原因の場合、内科的処置で劇的に良くなる可能性があります。
また、認知症がアルツハイマー型などの場合には薬で進行を遅らせることができるため、日常生活での障害や徘徊などのトラブルに事前に対応できます。治療方針や介護方針を決めていくためにも、早期発見、診断、治療が非常に大切です。
以下のような症状がみられる場合、認知症を発症している可能性があります。40代以降の人で、以下の項目に当てはまるものが多い人は病院で検査を受けましょう。
ご家族に認知症の疑いのある人がいたり、自分で「おかしいな」と感じたりする場合、早めに物忘れ外来などの専門外来のある医療機関を受診しましょう。
ただ、いきなり受診することに抵抗があるようでしたら、まずはかかりつけ医に相談してください。かかりつけ医は既往歴や普段の様子、性格などをある程度把握しているため、そこから専門医のいる医療機関に紹介をしてもらうケースが一番スムーズです。かかりつけ医がいないようでしたら、前述の物忘れ外来や脳外科、精神科、心療内科、神経外科などで診てもらいましょう。
認知症専門医は日本認知症学会、または日本老年精神医学会がそれぞれ認定しており、両方合わせておよそ800人の医師が登録されています。そして多くの認知症専門外来では、認知症の診断を正確にするための脳の画像検査機器が備えられていたり、大きな病院とすぐに連携できるようになっています。
また、自らが納得して治療を始めるためにも、複数の病院を受診するセカンドオピニオンもおすすめです。本人の不安を取り除いてくれる、相性の良い先生を選ぶことも治療には非常に大切なことだからです。
認知症の代表的な診断基準として、DSM-5と呼ばれるアメリカ精神医学界が提唱するものがあります。診断基準は以下の通りです。
検査方法には次のようなものがあります。
認知症の原因である身体的疾病の有無を調べるために、尿検査、血液検査、内分泌検査、血清梅毒反応、胸部X線写真、心電図検査などが行われます。
代表的な認知症検査として、改定・長谷川式簡易知能評価スケールとMMSEと呼ばれる記憶・認知機能テストがあります。
頭部CTスキャンやMRIといった脳の形をみる検査や、脳SPECTなどで脳の働きをみる検査をおこないます。画像検査をすると認知症かどうかだけでなく、脳の萎縮状態などから認知症のタイプやどの程度認知症が進行しているのかもある程度判断できます。
認知症の検査にはCT検査やMRI検査などの画像検査、問診などによる認知機能検査、血液検査など様々なものがあります。認知症を疑って病院を受診した場合、一般的には認知機能の低下を引き起こす脳内病変やホルモンバランスの異常を調べる検査も同時に行われます。
検査の内容や費用は医療機関によって異なりますが、健康保険の適応で3割負担の場合、5000~20000円ほどかかるのが一般的です。まずは検査内容や費用について、受診予定の医療機関に問い合わせてみましょう。
物忘れを老化の一環だと決めつけずに、認知症を疑って医療機関を受診することはとても大事なことです。ご家族に疑わしい症状のある人がいる場合には、ノートなどに普段の様子をメモしておくと良いでしょう。本人が受診を嫌がる場合には、まずは地域包括支援センターなどに相談してみてください。