胆石の疝痛発作には、どんな薬が使われるの?

2018/6/14 記事改定日: 2019/12/17
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

みぞおちや背中、右上腹部などに激しい痛みが生じる、胆石の「疝痛発作」には、どんな薬が有効なのでしょうか?また、市販の薬でも代用できるのでしょうか?
この記事では、胆石の疝痛発作の特徴と使われる薬について解説していきます。

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胆石の疝痛発作の特徴って?

胆石は自覚症状がないことも多く、健康診断などで偶然発見されることのほうが多いでしょう。
しかし、胆石の大きさや位置などによっては、食後の消化活動で胆のうが収縮するタイミングで胆石が胆のうの壁などを刺激し、一時的に激しい痛みを生じることがあります。

このような一時的な痛みを「疝痛発作」と呼び、みぞおちや右上腹部に差し込むような激痛が走ります。痛みの程度には個人差がありますが、冷や汗が出るほどの強い痛みが生じて救急車を要請する方も少なくありません。

一般的には30~60分ほどで自然に軽快しますが、胆石が胆管に流れ込んで閉塞させると胆管炎を発症することもあります。

胆石の疝痛発作に効く痛み止めの薬は?

疝痛発作には、痛みや炎症を抑える効果のある、ロキソニン®などのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が有効とされています。
NSAIDsの投与には、疝痛発作の痛みの緩和だけでなく、急性胆のう炎の発症を予防する効果もあると考えられています。

また、疝痛発作が起こったときには、胆のうの収縮を緩和させる鎮痙薬を使うのも有効です。具体的には、コスパノン®やブスコパン®が処方されます。

市販薬のブスコパンも胆石に効く?

薬局でも、ブスコパンA®錠やブスコパン®Mカプセルなどが市販されていますが、これらの市販薬も、処方されるブスコパン®と同じ成分が同量(ブチルスコポラミン臭化物10mg)含まれています。
このほか、ブチスコミン®やストマオフ®糖衣錠にも、ブチルスコポラミン臭化物10mgが含まれているため、医療用のブスコパンと同等の効果が期待できます。

ただし、あくまで病院に行く時間がないときの緊急用の服用に留め、痛みがひどいときはすぐにかかりつけの病院を受診するようにしてください。

胆のう炎は薬で治療できる?

胆石が胆のうに挟まり、胆のう管(胆のうと胆管をつなぐ管)が詰まったりして細菌感染を起こし、急性胆のう炎を起こしてしまった場合は、4日以内に腹腔鏡下手術か開腹手術による胆のう摘出術が必要になります。

基本的には、絶食と輸液、抗菌薬や鎮痛薬の投与などの初期治療の後で、胆のうを摘出します。ただ重症度によっては、緊急ドレナージ術などが行われることもあります。

おわりに:市販薬は一時利用に留め、痛みがあれば病院へ

胆石の疝痛発作には、ロキソニン®などの鎮痛薬やブスコパン®などの鎮痙薬が有効といわれています。これらの薬は市販されてもいますが、基本的には対症療法に過ぎず、状態によっては手術などの根治治療が必要になることがあります。
痛みがあったらなるべく病院を受診し、状態に合った治療を進めていくことが肝心です。

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